金沢市は2018年3月に夜間景観アクションプログラムを策定し、金沢市内のランドマークとなる建物や文化的景観等の夜間照明を取り入れ、夜間の回遊性を高めるルートを整備することを計画しています。
金沢市では夜間景観の向上に力を入れており、今回プログラムが策定されたエリアは以下の通りです。
- 都心軸(金沢駅~武蔵ヶ辻)
- 城郭周辺(金沢城公園周辺)
- 浅野川周辺(武蔵ヶ辻~橋場、浅野川沿い)
- 本多の森周辺(本多の森公園)
- 犀川周辺(犀川大橋~桜橋、寺町台)
- 長町周辺(長町武家屋敷)
この6つのエリアでは歩行回遊ルートが整備され、夜でも魅力的なライトアップの下、散策できるようになります。
また、夜間景観のうち、夜のランドマーク(建築物)として以下の3つが選定されています。
- 金沢駅鼓門
- 北國銀行武蔵ヶ辻支店
- 尾山神社神門
金沢駅鼓門
北國銀行武蔵ヶ辻支店
尾山神社神門
これら3つの建築物は既にライトアップが行われていますが、上質なライティングがされるよう照明の当て方などを再検討するそうです。
夜間照明のイメージ図が公開
また、夜間照明のイメージ図が公開されました!
夜のランドマーク
まずは先ほど紹介した夜のランドマークとなる建築物について紹介します。
金沢駅鼓門
夜間景観アクションプログラム~魅力的な夜間景観の創出~(概要版)-金沢市より引用
現況では真ん中の照明がぼんやり当たっているような感じですが、鼓門全体がライティングされるみたいです。
柱や軒裏の先端を明るくし、イベント時に色変化ができるようにするそうです!
北國銀行武蔵ヶ辻支店
夜間景観アクションプログラム~魅力的な夜間景観の創出~(概要版)-金沢市より引用
北國銀行武蔵ヶ辻支店は昭和7年の村野藤吾建築となっています。
現在は北前船をイメージしたといわれる尖塔アーチ部を中心にライトアップされていますが、こちらも鼓門同様に全体がライティングされます。
金沢駅から武蔵ヶ辻に進むと目の前に見える建物であることから、夜には建物が浮かび上がり、多くの人を魅了するような美しさを見せてくれることでしょう。
尾山神社神門
夜間景観アクションプログラム~魅力的な夜間景観の創出~(概要版)-金沢市より引用
現在は暖色系のライトアップとなっており、全体が濃いオレンジ色に見えていますが、照明の色を変えた上で、階段含めライトアップされる計画です。
また、手前の街灯の非常に眩しい灯りはもう少し落ち着きを持たせたものになりそうですね。
その他の建築物
その他の建築物のライティング計画をご紹介します。
金沢蓄音機館
夜間景観アクションプログラム~魅力的な夜間景観の創出~(概要版)-金沢市より引用
金沢蓄音機館のレンガが映し出す陰影が美しいですね。
尾張町町民文化館、老舗交流館
夜間景観アクションプログラム~魅力的な夜間景観の創出~(概要版)-金沢市より引用
中屋薬舗と金沢貯蓄銀行本店をそれぞれ保存した建築物のライトアップイメージです。
エントランスだけではなく屋根まで建物全体をライティングする計画ですね。
山錦楼
夜間景観アクションプログラム~魅力的な夜間景観の創出~(概要版)-金沢市より引用
山錦楼は犀川大橋から見える大型木造建築で、地階を含め4層となっているのは圧巻です。
建物全体がライトアップされると夜に犀川大橋から見たときにさらにシンボリックに見えそうです。
このほか、本多の森に移転する東京国立近代美術館工芸館や、谷口吉生氏の生家跡に建設中の建築文化拠点施設(建築博物館)も効果的なライトアップがされる予定です。
土塀や門、石垣もライトアップを検討
建築物だけではなく金沢市内至る所にある、土塀や門、石垣も魅力的なライトアップが新設される計画です。
尾崎神社 塀・門
夜間景観アクションプログラム~魅力的な夜間景観の創出~(概要版)-金沢市より引用
徳川家を祀り、北陸の東照宮といわれる尾崎神社の塀・門も朱色が浮かび上がるようなライティングとなります。
国の重要文化財となっています。
白鳥路
夜間景観アクションプログラム~魅力的な夜間景観の創出~(概要版)-金沢市より引用
金沢城北東側に位置する白鳥路の今は単なる景観配慮型の街灯があるのみで効果的なライトアップとは言えません。
計画では、金沢三文豪をはじめとする数々の彫刻が浮かび上がるようなライティングとなります。
大屋家住宅表門
夜間景観アクションプログラム~魅力的な夜間景観の創出~(概要版)-金沢市より引用
長町武家屋敷に位置する大屋家住宅表門は国の登録有形文化財に指定されています。
現在は街灯でそのまま照らしているため、ライトアップとまでは言えませんね。
他にも兼六園周辺や桜橋・W坂など、こういったように魅力的なライトアップにするよう計画しています。
浅野川に架かる橋を先行例に
既に先行事業として浅野川沿いに架かる橋(天神橋、梅ノ橋、浅野川大橋、中の橋)のライトアップは完了しています。
例えば梅の橋では、
元々は暖色系の街灯で濃いオレンジに染まるライトアップでしたが…
街灯を撤去し、暖色を抑えた照明にリニューアル。
欄干と橋上を効果的に照らす魅力的なライトアップに生まれ変わりました!
さいごに
こういったように、ライトアップ一つで夜間景観も大きく変貌するため、文化財や江戸時代からの建築が残る金沢市で夜間景観の見直しが行われることは非常にうれしいことです。
金沢市が外国人に行ったアンケートでは夜の観光の印象は大変満足が16%、満足が42.6%、普通は32.4%、不満足は6.4%という結果になりました。
今後の課題として飲食店の閉店時間が早いことや夜間イベントの不足などが挙げられています。
現在でも夏から秋にかけては金沢ナイトミュージアムを開催、毎週土曜日には金沢ライトアップバスを運行するなど多彩な夜の観光への取り組みが行われています。
市中心部全体で魅力的なライトアップを行い、夜の回遊性も向上すれば、さらに飲食店やイベントも増え、満足度も向上するのではないかと思います。
夜間照明については平成30年度から平成34年度の5年間にわたって整備される予定で、夜の景観が大きく向上することが期待され楽しみです。
参考記事
・浅野川4橋のライトアップが完成 新旧比較 天神橋
・浅野川4橋のライトアップが完成 新旧比較 梅ノ橋
・浅野川4橋のライトアップが完成 新旧比較 浅野川大橋
・浅野川4橋のライトアップが完成 新旧比較 中の橋
夜間景観アクションプログラム~魅力的な夜間景観の創出~(概要版)-金沢市
金沢に国内初の建築博物館が誕生します!谷口吉生氏が設計
石川県に移転する国立近代美術館工芸館はモダン建築に!