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【特集】 金沢港が開港以来の大改造に着手へ!前編

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金沢港が開港以来の大改造に着手されます!

どういった港に進化していくのか見ていきたいと思います。

 

 

 

金沢港の歴史

まずは、金沢港が建設された経緯から見ていきましょう。

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※ここでいう金沢港は現在の金沢港のことを指します。金石(宮腰)の港については戦国時代から江戸時代にかけて発展し、北前船の寄港地としても大いににぎわっていました。

しかし、金石の港は犀川の河口だったこともあり、水深が浅く、大型船の寄港が無理でした。また、物流の中心は北前船から鉄道に変わり、衰退しました。

そこで、貿易港として金沢港を建設する動きがありましたが、第2次世界大戦で凍結。

戦後もそこまで機運が高まらなかったのか、しばらくは動きがありませんでした。

 

そして、金沢港の建設のきっかけになったのが昭和38年の豪雪、いわゆる38豪雪(サンパチごうせつ)です。

金沢市では1963年(昭和38年)1月27日181㎝の積雪を記録しました。

この時には、陸上の交通網、海上の交通網は全て閉ざされ、金沢の物流は完全にストップし、陸の孤島と化しました。

 

金沢市内では燃料の輸送がストップし工場が止まり、日常必需品がストップし市民はパニック寸前だったみたいです。

 

この時、北陸全ての都市が陸の孤島だったわけでは無く、福井県は三国港、富山県は伏木港と富山港、新潟県は直江津港を持っていたため、海上からの物資輸送が可能だったみたいです。

金沢の場合は伏木港に頼らざるを得ない状況でした。この教訓をもとに金沢港の建設の機運が一気に高まりました。

 

そして、大野川沿いを中心とした部分に金沢港を堀込式港湾として建設。

堀込式港湾とは、陸地だった部分を掘って港にする方式で、有名なところだと鹿島港、北陸だと伏木富山港も同じ堀込式港湾ですね。

 

驚異的なスピードで工事が進み、38豪雪から7年後の昭和45(1970)年11月1日に金沢港が開港し、第1船が接岸したそうです。

 

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(出典:国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス

1966年(昭和41年)の金沢港周辺の様子です。

38豪雪から3年経っていますが、まだ現在の金沢港の姿は見えません。

この状態の4年後に田んぼだった場所を掘り込んで、金沢港が完成しているなんて信じられませんね。

 

 

―市民にとって悲願の開港から47年がたちました

47年間にガントリークレーンが設置されたり、大浜ふ頭が完成したり、金沢港は進化を続けてきました。

しかし、港を巡る状況も47年で大きく変化したものの、現在の金沢港の施設の大半は開港から大きく変わっておらず、施設の老朽化や、改造が必要です。

 

そこで、金沢港が開港以来の大改造に着手することになりました!

どのように大改造されるのか3回にわたって見ていきます。

 

今回は、クルーズ船関連の工事について見ていきます。

 

 

金沢港のクルーズ船を巡る現状

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金沢港のクルーズ船が劇的に増え始めたのは2013年ごろです。

世界的なクルーズ船需要の高まりや北陸新幹線開業に伴う観光客の増加などもあり、2017年は2012年比で9倍近く寄港数が増加しました。

 

金沢港のクルーズ船寄港数
2011年 5隻
2012年 6隻
2013年 18隻
2014年 16隻
2015年 19隻
2016年 30隻
2017年 53隻 (予定)

 

 

2017年の金沢港寄港のクルーズ船は50本超へ!今年比1.7倍で過去最高に!という記事でも書きましたが、

金沢港の強みは、

・金沢港から観光地が密集する金沢市中心部へのアクセスのしやすさ
・高速道路やのと里山海道も近く、北陸周辺へ観光の展開のしやすさ
・北陸新幹線金沢駅からのアクセスのしやすさ

などがあり、これがクルーズ船の爆発的な増加に貢献している理由ともいえます。

 

 

 

金沢港が持つ問題

しかし、クルーズ船の増加とともに様々な問題も出てきています。

 

1.客船用の埠頭に大型クルーズ船が接岸できない

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(戸水埠頭に接岸するコスタビクトリア号)

まず、1つ目から大問題ですよね(笑)

客船用の埠頭として建設された無量寺埠頭ですが、水深が7.5mしかなく、3万トン以下の船しか寄港できない仕様になっています。

3万トン以下と言ってもピンときませんが、2017年に寄港予定のクルーズ船53隻のうち、現在の無量寺埠頭に接岸できるのは12隻というのが現状なんです…。

 

 

2.大型クルーズ船の同時接岸ができないこともある

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(物流色の強い戸水埠頭、ガントリークレーンがあるところは御供田埠頭)

上の無量寺埠頭に関連することですが、大型クルーズ船が客船用の無量寺埠頭に接岸できないので、貨物・RORO船用の戸水埠頭に寄港せざるを得ないのが現状です。

そうなると仮に、貨物船(RORO船)あるいは大型クルーズ船とブッキングした際には戸水埠頭に大型クルーズ船が寄港できないまたは、RORO船の荷役作業ができないことになります。

そういった場合には水深が深い大浜埠頭に接岸することになっていますが、大浜ふ頭も貨物メインで、時々、超大型クルーズ船が暫定利用するターミナルなので、手荷物検査場など暫定的にテント等で設ける必要があり非常に効率が悪いです。

 

 

3.CIQ施設が仮設テント

CIQとは、関税・出入国・検疫という意味で、それらを行う、CIQ施設が仮設テントで行われているという点です。

大型クルーズ船が今後も定期的に寄港することを想定するならば、仮設テントではなく恒久化する必要性があるかと思われます。

 

 

4.待合施設の老朽化

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(金沢みなと会館)

観光客がまず訪れるのが、電車や新幹線なら駅、飛行機なら空港、港なら港湾ターミナル等の待合室ですよね。

最初に訪れる施設の印象は残るものだと思いませんか?

金沢駅だと、もてなしドームや鼓門のインパクトが残ったりします。

現在の金沢港の待合施設は昭和47年(1972年)に建設された金沢みなと会館です。

築45年が経過し、老朽化が進み、金沢港がなんとなく殺風景な印象を持ってしまう原因の一つだと思います。

 

 

・・・と、問題点を書き出してみましたが、想像を上回る問題の多さですね(汗)

 

さて、これらの問題をどのように解決していくのか見ていきたいと思います。

金沢港大改造を見ていきましょう!

 

 

無量寺埠頭の浚渫・2バース化

 

まずは、

1.客船用の埠頭に大型クルーズ船が接岸できない

2.大型クルーズ船の同時接岸ができないこともある

を解決する方策です。

 

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(ロゴスホープ号が無量寺埠頭に接岸した際の様子)

無量寺埠頭の浚渫を行い、水深7.5mから水深10mにされます!

2.5m深くなっただけ、と思われるかもしれませんが、これが極めて重要で、水深10mになると接岸できる船が3万トン以下から10万トン以下に大幅グレードアップされます。

 

3万トン以下だと、先ほども書きましたが、2017年に寄港予定のクルーズ船53隻のうち、現在の無量寺埠頭に接岸できるのは12隻なんです。

しかし、10万トン以下になると、2017年に寄港予定のクルーズ船53隻のうち、接岸できるのは53隻!

なんと、2017年に寄港する大型クルーズ船の全てが無量寺埠頭に接岸可能になります!

 

 

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(工事着手前の無量寺埠頭)

また、無量寺埠頭は3万トン以下の船を2隻同時寄港できる能力がありましたが、これが10万トン以下の船を最大で2隻同時寄港できるようになります!

これにより、10万トン以下のクルーズ船の2隻同時寄港も可能となります!(ただし、クルーズ船の長さによっては1隻のみ)

※もしもの場合は大浜埠頭や戸水埠頭も利用すれば大型クルーズ船が最大で4隻接岸可能ですね(笑)

 

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(大浜埠頭に接岸した護衛艦かが)

ちなみに、2018年に寄港予定の金沢港史上最大の超大型クルーズ船「MSCスプレンティダ」は13万8000トンなので、こういった1年に1回来るか来ないかの超大型クルーズ船は大浜埠頭への接岸となります。

(参考記事:金沢港史上、過去最大のクルーズ船が2018年に寄港へ!

 

 

 

金沢港無量寺ふ頭の整備
(石川県より引用)

当初の予定では、国の予算の関係もあり、1バースを3年かけて、2バース分整備するので、平成28年(2016年)から平成34年(2022年)の6年がかりで工事が進む予定でした。

しかし、金沢港のクルーズ船寄港の急伸から石川県が国に強く働きかけ、国も動き、2バース分を同時整備することで、平成28年(2016年)から平成31年(2019年)の3年がかりとなり工期が半分に短縮されることになりました。

5年前はまさかこのような事態になることが想定できなかったため、急ピッチで整備することになりました。

 

2020年の東京五輪より1年前に完成することとなり、完成すれば、さらにクルーズ船の誘致がしやすい状況になります。

 

 

 

続いては、

3.CIQ施設が仮設テント

4.待合施設の老朽化

を解決する方策について書いていきたいですが、本日はここまで。

 

また、次回に続きます・・・

 

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