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鼠多門・鼠多門橋が竣工!136年ぶりに架橋されました!2020.7

鼠多門・鼠多門橋復元工事は、金沢城の西側にあった門と橋を復元する事業です。

金沢城公園西側で発掘調査が進められていた鼠多門・鼠多門橋について、3年間行われた発掘調査も終わり、2018年7月から本格的に復元工事に着手しました。

そして、2020年7月18日(土)に供用開始しました!

概要

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(鼠多門からのイメージ図)
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(かつての鼠多門と鼠多門橋の様子)

鼠多門の特徴
・金沢城三御門(石川門・河北門・橋爪門)とは異なり、連続した石垣内に扉がある
・石垣の上に、威容を誇る2層2階の櫓が建つ
・三御門の枡形門とは異なる単体の門

また、明治時代に陸軍が石垣をふさいだため、藩政期の城の入り口で唯一閉ざされていた門(付近のいもり坂は陸軍が整備した道路なので藩政期には無かった)でもあります。復活すれば、約130年ぶりとなります。

鼠多橋
・金谷出丸(現在の尾山神社)と玉泉院丸を結んでいた橋。
・当初は尾山神社裏の、現在道路になっているあたりにお堀があり、橋を架ける必要があった。

復元整備の意義
・城外周部の市街地に面した建物、魅力ある城下町の景観の創出。
・「加賀藩ゆかりの歴史的回遊ルート」が明確となり、金沢城のシンボル性がより高まる。
・伝統的建造技術の継承、石川の匠の技の発信

能登ヒバなどの県産材を7割以上用いるそうです。


鼠多門、鼠多橋が完成すると、尾山神社から玉泉院丸庭園が一直線で結ばれるため、回遊性が大幅に向上し、長町武家屋敷→尾山神社→鼠多橋→玉泉院丸庭園→金沢城公園→石川橋→兼六園と、加賀藩ゆかりのスポットが線で結ばれることになります。

2021年の完成を目指して復元工事が続いていましたが、工事を前倒しし、2020年7月18日に供用開始しました!

名称金沢城公園整備(鼠多門)工事
所在地金沢市丸の内
敷地面積225,003.36㎡
建築面積7,272.03㎡
延床面積8,020.42㎡
用途博物館
高さ地上10.445m
構造・階数木造、一部鉄骨造 地上2階地下1階
客室数
開発事業者石川県土木部営繕課
設計公共財団法人文化財建造物保存技術協会
工事着手予定日2018年3月30日
工事完了予定日2020年東京オリンピックまでの供用を目指す
開業日

前回の記事はこちら

完成した様子

供用開始日に訪問してきました!まずは金沢城公園玉泉院丸庭園側から見ていきます。

玉泉院丸庭園北側の公園が開放されていました。

こちら、玉泉院丸庭園竣工時(2015年)に完成していましたが、すぐに鼠多門の復元工事の話が上がり立ち入り禁止となっていたゾーンです。

北側の芝生広場先端に石垣が突き出しており、展望スペースとなっていました。

北側から見た鼠多門橋の様子です。

供用開始に伴い、多くの方が橋を渡っていました。

鼠多門橋は、金沢城・玉泉院丸庭園と尾山神社を結ぶ橋で、明治17年(1884年)以来、136年ぶりに人が往来できるようになりました!

当時の橋の下は金沢城のお堀でしたが、現在は市道(お堀通り)が通っています。

鼠多門と絡めて。石川門と正反対側にありますが、尾山神社の杜と相まって、石川門とは大きく異なる風景となっています。こちらのほうが落ち着きのある印象ですね。

※石川門も金沢城の”正面”ではありませんが・・・

アップで見た様子です。

門の入口と石垣が溶け込んでいるようですね。

続いて、鼠多門を近くで見ていきます。

(レンズの収差で若干歪んでいますが)鼠多門をアップで見た様子です。

鼠多門の最大の特徴である「黒漆喰の海鼠壁(なまこかべ)」です。調査を行った結果、金沢城内で唯一黒漆喰を用いていたことが分かりました。

こちらは金沢城の五十間長屋ですが、白漆喰を使っており、全体的に白い印象ですね。

一方、鼠多門は黒漆喰なので、金沢城の中でも異質な存在に感じます。

まるで別の城郭にいるかのようです。

屋根部分は、金沢城の特徴である鉛瓦が用いられているため、経年変化で白い屋根へと生まれ変わっていきます。

内部見学は行列ができていたため、またの機会に紹介できたらと思います。

続いて、鼠多門をくぐって、鼠多門橋を渡っていきます。

一部、戸室石をあしらった階段を下りていきます。

玉泉院丸と尾山神社は高低差があるため、鼠多門は見た目、半地下構造のようになっています。

進んでいくと、戸室石の石垣に囲まれ、立派な冠木が見えてきました。

ちなみに、門には車いす用の昇降リフトも備わっております。

立派な門の先には橋が見えてきます!

鋲門の立派な扉を抜けていきます。

すると、視界が開け、鼠多門橋、その奥に尾山神社の緑豊かな境内が借景として見えてきました。

鼠多門橋から鼠多門を望む。

鼠多門橋は市道の上に架かる制約上から完全復元は難しく、鋼橋の鉄骨に能登ヒバを貼り合わせることで、木橋風にすることとなりました。

しかしながら、鉄骨があることが分からないくらい、綺麗に能登ヒバがあしらわれており、とてもいい香りがしました。

また、転落防止のため柵をするのが一般的ですが、景観を損ねないため、欄干にはアクリル板が貼られており、遠くから見ると全く違和感を感じなかったです。

鼠多門橋から南方向を望む。この辺り一帯がお堀となっていました。

鼠多門橋から北方向を望む。

今後、この先に丸の内園地が再整備予定となっています。

尾山神社側から見た様子です。

異なる形をした石垣の接続部分は綺麗に繋がれており、技術の高さを感じました。

最後に尾山神社側から見た様子です。

鼠多門・鼠多門橋の完成により、尾山神社と金沢城公園が接続されました。本日訪れて見ると、尾山神社の通行量も確実に増加しており、横断歩道を渡ることなく、尾山神社→金沢城→兼六園へとつながり、回遊性は確実に向上しました。

昨今の事情もあり、観光客は少なく、地元客中心でしたが、むしろ鼠多門橋の完成により、県民・市民の金沢城公園周辺の再発見につながるのではないかと期待されます。

金沢城の鼠多門・鼠多門橋の復元工事は2015年7月からなんと5年間にわたって見てきました。金沢城の「回遊性向上」としての役割はこのエリアの完成で集大成となります。

金沢城からみればわずかなエリアの復元かもしれませんが、人の流れは変化していくターニングポイントとなりそうです。

今まで見ていただいた方、ありがとうございました。

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