金沢市寺町5丁目で建設が進んでいた、「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」が2019年7月26日(金)に開館します。
金沢出身の日本・世界を代表する建築家谷口吉郎氏、谷口吉生氏の作品展示のほか、江戸時代から現代まで多種多様な建築がある金沢の都市と建築文化を国内外へ発信する施設となります。
概要
(北陸建設工業新聞より引用)
名称 | 谷口吉郎・吉生記念金沢建築館 |
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所在地 | 石川県金沢市寺町5丁目1-18 |
敷地面積 | 2,034㎡ |
建築面積 | 836㎡ |
延床面積 | 1,476㎡ |
構造 | 地上2階 地下1階 |
設計 | 谷口建築設計事務所 |
場所は寺町5丁目の谷口吉郎氏の生家があった場所、設計は谷口吉生氏となっています。
谷口吉郎氏、谷口吉生氏について
谷口吉郎氏、吉生氏ともに金沢にゆかりの深い有名建築家で、両氏は親子関係にあります。
谷口吉郎氏は金沢市片町の九谷焼の窯元の家に生まれました。その後、今回建築館が建てられた寺町5丁目にある自宅で過ごしていたそうです。金沢二中(現在の錦丘高校)、第四高等学校(現在の金沢大学)を経て、東京帝国大学建築学科(現在の東京大学)を卒業。
特に戦後を代表する有名な建築家で代表作として、藤村記念堂や東宮御所、東京国立博物館東洋館などがあります。また、金沢市の名誉市民第1号となっています。
谷口吉生氏は谷口吉郎氏の息子で生まれは東京ですが、戦時中に金沢の祖父母宅に疎開し、十一屋小学校、三馬小学校へ通っていたそうです。
現在も多くの建築物を手掛ける世界的な建築家で、代表作としてニューヨーク近代美術館や豊田市美術館、東京国立博物館などがあります。
金沢と”谷口建築”について
ゆかりがある金沢にも谷口吉郎、吉生両氏の建築はいくつかあります。
代表例を挙げると…
- 金沢市観光会館(現:金沢歌劇座)(谷口吉郎)
- 石川県立美術館(現:石川県伝統産業工芸館)(谷口吉郎)
- 石川県繊維会館(現:金沢市西町教育研修館)(谷口吉郎)
- 金沢市立玉川図書館(谷口吉郎・谷口吉生)
- 鈴木大拙館(谷口吉生)
- 谷口吉郎・吉生記念金沢建築館(谷口吉生)
などとなっています。
特に金沢市立玉川図書館は谷口吉郎氏と谷口吉生氏による最初で最後の親子共同で設計した作品で、アーキテクチャーツーリズム(建築巡り)としても多くの観光客や学生が訪れています。
谷口吉郎・吉生記念金沢建築館のコンセプト
金沢市の資料によると、金沢建築館のコンセプトは以下の通りです。
- 建築とまちづくりを考える
- 金沢市名誉市民第一号の谷口吉郎氏の顕彰
- 建築資料の保存・活用
- 世界に開かれた交流施設
- 洗練された建築意匠
谷口吉郎・吉生氏の展示物だけではなく、これらを通して「建築とまちづくりを考える」施設となるそうです。
谷口吉郎・吉生記念金沢建築館のフロア
現在明らかになっているフロアは以下の通りです。
2階 | 常設空間展示「迎賓館赤坂離宮和風別館 游心亭」 |
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1階 | エントランス、カフェ、ミュージアムショップ |
地下1階 | 企画展示室 |
企画展示室では、谷口吉郎氏の遺品や、都市や建築に関する展示、講演スペースなどが設けられます。
2014年12月には[谷口吉郎・谷口吉生]展 金沢が育んだ二人の建築家が行われていました。この際に展示された建築模型は全て、金沢市に寄贈されたので、展示室には谷口氏の建築模型が多く並ぶのではないでしょうか。
1階にはカフェがオープン
1階には金沢市でカフェを運営する「メープルハウス」が手掛けるカフェ「茶房 楓 produce by MAPLE HOUSE」がオープン。
メープルハウスといえば、金沢21世紀美術館内のレストラン「Fusion21」、金沢城公園内のカフェ「豆皿茶屋」、そして金沢港クルーズターミナルのレストランも運営予定など、公共施設内に入居するカフェとして実績がありますね。
ドリンクやお菓子が提供される予定で、谷口氏設計の建築館内の空間で一服することができます。
2階には游心亭を再現
(日本経済新聞 2017年6月30日)
建築博物館の館内2階は東京の迎賓館赤坂離宮にある游心亭が再現されます!
游心亭(ゆうしんてい)は、国賓・公賓に和のおもてなしを提供する場で、昭和49年(1974年)に谷口吉郎氏が設計しました。
今回は谷口吉生氏が游心亭を再現し、建築博物館の目玉に、47畳もの巨大な和室、そして窓越しには水を張った水盤を設け、その先に金沢の街並みが見える贅沢な空間となります。
内部は一般公開もされるみたいで、建築を通して谷口氏の建築思想が分かる空間であり、市民の交流施設、来客を迎える迎賓館としても活用されるみたいです。
東京の游心亭では国賓・公賓をおもてなしする施設なだけに、金沢の游心亭でも同様に迎賓館としての機能も果たすことになるみたいですね。
こうした実際存在する建築を忠実に再現した「空間の常設展示」という手法は国内初となります!
江戸から現代までの建築が存在する金沢建築文化の拠点へ!
金沢は戦災を受けておらず、
- 江戸時代の加賀藩前田家の「城下町」としての金沢
- 明治時代の旧制高校(ナンバースクール)誘致・旧陸軍師団誘致による「学都」「軍都」としての金沢
- 大正から戦前にかけて華やかな全国有数の「大都市」としての金沢
- 戦後から現代の「近未来が新旧と調和」した金沢
それぞれ、建築手法も異なった当時の時代を反映した建築が多く残っており、独特の建築文化を形成しています。
こうした金沢の建築文化を発信する拠点としても期待が高まります。
第1弾企画展は「清らかな意匠-金沢が育んだ建築家・谷口吉郎の世界-」
開館記念特別展と銘打った第1弾となる企画展は「清らかな意匠-金沢が育んだ建築家・谷口吉郎の世界-」となります。
谷口吉郎氏にスポットを当てて、主要な建築作品と文筆家としても活躍したことから著作との関わりにまつわる展示となるそうです。
詳しくはこちら↓
https://www.kanazawa-museum.jp/architecture/exhibition/img/2019_pnf_1.pdf
開館日は?
開館日は2019年7月26日(金)となります。
一般の方は7月26日(金)午後2時より入場可能となるそうです。
谷口吉郎・吉生記念金沢建築館へのアクセス
谷口吉郎・吉生記念金沢建築館へのアクセスは以下の通りです。
名称 | 谷口吉郎・吉生記念金沢建築館 |
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所在地 | 石川県金沢市寺町5丁目1-18 |
入館料 | 300円(65歳以上200円) |
開館時間 | 9時30分-17時(入館は16時30分まで)、高校生以下は無料 |
休館日 | 月曜日(※)/年末年始(12月29日から1月3日) ※月曜日が祝日の場合はその直後の平日が休館日 |
備考 | 駐車場は無いため、公共交通機関での来館となります。 |
公式サイト | https://www.kanazawa-museum.jp/architecture/ |
- 金沢駅からタクシー約15分
- 最寄りバス停
城下まち周遊バス、北陸鉄道バス「広小路」
金沢ふらっとバス長町ルート「24 野町広小路」
となります。
過去記事
・谷口吉郎・吉生記念金沢建築館 建設工事 2019.5
・谷口吉郎・吉生記念金沢建築館 建設工事 2019.1
・金沢市寺町の 建築文化拠点施設(建築博物館) 建設工事 2018.10
・金沢市寺町の 建築文化拠点施設(建築博物館) 建設工事 2018.9
・金沢市寺町の 建築文化拠点施設(建築博物館) 建設工事 2017.12
・金沢に国内初の建築博物館が誕生します!谷口吉生氏が設計