建設中・開発中

金沢に移転する東京国立近代美術館工芸館(国立工芸館) 整備工事 2019.12

東京国立近代美術館工芸館(国立工芸館) 移転整備工事は、文化庁、(独)国立美術館、石川県、金沢市において、「政府関係機関移転基本方針」(平成28年3月22日まち・ひと・しごと創生本部決定)に基づき、決定しました。

建物は戦後の移転で金沢市出羽町にあった国登録有形文化財「旧第九師団司令部庁舎」と国登録有形文化財「旧金沢偕行社」を移転し外観を活用、完全復原されます。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中に開館することを目指しています。

 

概要

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(正面から)

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(鳥瞰図)

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(移転跡地に整備される駐車場)

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配置図です。

実線斜線で示されている部分が移転部分、鎖線斜線で示されている部分が増築・復原部分となっています。

名称 東京国立近代美術館移転整備工事
所在地 石川県金沢市出羽町
敷地面積 10,554.46㎡
建築面積 1,421.66㎡
延床面積 3,072.22㎡
用途 美術館
高さ 地上13.76m
階数 地上2階,地下1階
客室数
開発事業者 石川県
設計 山岸建築設計
工事着手予定日 2018年3月19日
工事完了予定日 2019年10月31日
開業日 2020年東京オリンピックまでに開業目指す

 

通称は国立工芸館に

東京国立近代美術館工芸館の石川県移転に関して、石川県にあるのに”東京”の名が付くことになるため、通称名について検討されてきました。通称名は石川県や金沢の名が付くことも検討されましたが、「国立工芸館」に決定しました。

おそらく、地図などの表記も国立工芸館という名称になると思われます。

 

建設当時の色で復元へ

(北國新聞より引用)

復元にあたって調査した結果、建設当初は異なる色だったことが判明したそうです。

第九師団司令部庁舎(左)は長らく、クリーム色の外観に窓枠などは薄桃色でしたが、建設当初は白色の外観に窓枠などはこげ茶色

金沢偕行社(右)は長らく窓枠などは灰色でしたが、建設当初は窓枠などは緑色

だったそうです。

 

塗り替えられた理由は戦後の洋風建築を塗装する際の流行色だったことや、緑色は旧陸軍を想起させるため塗り替えたそうです。

 

スケジュール

2017年度~ 解体・移築、工芸館整備

2019年秋 工芸館の建物 完成予定

2019年秋~2020年 からし期間

2020年夏ごろ(東京オリパラ時期)開業

 

前回の記事はこちら

金沢に移転する東京国立近代美術館工芸館(国立工芸館) 整備工事【周辺整備】 2019.7 東京国立近代美術館工芸館(国立工芸館) 移転整備工事は、文化庁、(独)国立美術館、石川県、金沢市において、「政府関係機関移転基本...

 

現在の様子

長らく敷地内撮影禁止だったため、国立工芸館自体は2019年3月以来、9カ月ぶりの訪問となりました。

2019年11月末に竣工し、11月から12月にかけて抽選で選ばれた人が見学ツアーが行われます。(倍率高すぎます…)

 

旧陸軍金沢偕行社

そして、ついに外観がお披露目されました!

こちらが旧金沢偕行社です。明治42年(1909年)に建てられた当時の姿に完全復元されました。一部木材などはそのまま用いられており、築110年の歴史ある建物は美術館として復活しました。

旧陸軍の将校クラブとして建てられ、外観は旧陸軍の緑色となっています。戦後には相応しくないと白に塗り替えられていました。

 

移築前はこんな建物でした。

 

 

外壁はそのまま移築されており、もちろんですが移築の痕跡などは見当たらず、美しい状態です。

 

 

茶色の部分は木材かと思ったら、銅板でした。

また、通気口には旧陸軍星章があしらわれており、過去に移築した際にコンクリートとなっていた基礎部分は完全復元に際して笏谷石?青戸室石?が用いられていました。

 

 

角から見た様子です。背後が復元された部分なのですが、アングル的に見ることができませんでした。

 

旧陸軍第九師団司令部庁舎

こちらが旧陸軍第九師団司令部庁舎です。明治31年(1898年)に建てられた当時の姿に完全復元されました。一部木材などはそのまま用いられており、こちらも築121年の歴史ある建物は美術館として復活しました。

金沢に拠点を置く旧陸軍第九師団の司令部として建てられ、外観は白色となっています。戦後には当時流行りのクリーム色とピンク色に塗り替えられていました。

 

移築前は戦後の移築の際に両翼を切られ、小さい印象でした。

 

今回の完全復元で両翼が復活し、威厳ある司令部庁舎が復活しました。

 

 

アップで見た様子です。

白をベースに焦げ茶色の外観はモダンな印象ですね。

 

 

やや遠景で見た様子です。町家が中心の明治時代に突如、こうした建物が建ち、当時の市民は相当ハイカラな印象を受けたのではないでしょうかね。

 

 

奥の石川県立歴史博物館と絡めて。

石川県立歴史博物館も旧陸軍の赤煉瓦の武器庫を活用しており、明治~大正の雰囲気残るエリアに変貌しました。

 

歴史博物館前から見た様子です。

 

 

完全復元に際して新たに増築された部分です。美術品展示の関係からRC造となっています。

 

正面から見た様子です。

威風堂々としていますね。

 

 

全体の様子

続いて、全景を見ていきます。

 

 

2棟は完全復元されましたが、それぞれの建物入り口から入るのではなく、2棟をつなぐ中央のエントランスから入る形となります。

 

 

アップで見た様子です。

 

 

石川県立美術館前から遠景で見た様子です。

 

 

最後に真正面から撮影。無事移築が完了し、周辺は市や県の美術館・博物館そして国の美術館が集積する一大文化ゾーンとなります。

建物についても江戸から現代の建物まで多種多様で、見て歩くだけでも楽しいですね。

今後は周辺の整備に取り掛かります。

 

過去記事

金沢に移転する東京国立近代美術館工芸館(国立工芸館) 整備工事【周辺整備】 2019.7
金沢に移転する東京国立近代美術館工芸館(国立工芸館) 整備工事 2019.3
金沢に移転する東京国立近代美術館工芸館 整備工事 2019.1
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金沢・本多の森に移転予定の東京国立近代美術館工芸館の様子 2017.8
石川県に移転する国立近代美術館工芸館はモダン建築に!
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