金沢へ来るなら、春か夏か秋か冬が良いと思っていますが、春はあちこちで桜が見られる、華やかな季節です。
普通に桜が見られるお花見スポットを紹介しても良いのですが、そういった記事は他にもあふれているので…
今まで金沢市中心部で巡った中で、おすすめ桜スポットを私なりの目線で見ていきたいと思います。
金沢の街と桜の特徴
桜はどの都市でも公園などで見られます。また、都市景観を構成する要素の一つにもなっているかと思います。
「桜が見たい」という観点で見ると金沢より他都市の優れたスポットもたくさんあります。
そこで、金沢の街と桜について着目し、この街ならではの特徴を考えてみます。
非戦災都市であること
金沢市は非戦災都市であることから多くの町家や路地がそのまま残っており、町家と桜を見ながら散策できるスポットがあることです。
このため例えば、たくさん桜が咲いている=花見スポットというだけでなく、路地を歩いていると町家の先に突然美しい桜と出会うこともあり、何も考えず散策するのも良いかもしれません。
起伏のある地形であること
金沢市中心部は真っ平らな平野ではなく、小立野台地と寺町台地、卯辰山山麓など台地や丘陵地があり、その上に街が形成されています。
そのため、台地の上から桜を見下ろすこと、また地上から台地の斜面に咲く桜を見ることができます。
台地の上の眺望点からは市街地と桜並木を眺めることもできます。
市内を流れる対照的な2本の川の存在
「桜並木」といえば川沿いですが、金沢市中心部では犀川と浅野川の桜並木がとても美しいです。
犀川は雄大かつ暴れ川なので「おとこ川」、浅野川はおしとやかな「おんな川」として流れ方も雰囲気も対照的です。
またそれぞれの川に架かる橋もトラスのごつごつした「犀川大橋」と3連アーチのモダンな「浅野川大橋」と対照的です。
そうした特徴的かつ対照的な川とともに、桜を眺めてみるのもおすすめです。
おすすめ桜スポット
以上で述べた、金沢の特徴的観点から桜のスポットを紹介していきたいと思います。
1.黒門前緑地
黒門前緑地は、金沢城公園の北側、近江町市場寄りにある緑地です。
元々は、1995年まで金沢地方検察庁の検事正官舎として利用されていた場所です。
緑地といえど、ただの公園ではなく1910年(明治43年)に建てられたモダンな洋館風な旧検事正官舎の建物や、高峰譲吉氏ゆかりの家屋、周囲を取り囲む黒瓦の土塀など無料開放されており、中に入りながら楽しむのも良いかもしれません。
こうした建物と桜が見られるのは戦災に遭わず、多くの方に守られてきたからでしょう。
2.大手堀から裁判所周辺
大手堀は上の黒門前緑地の目と鼻の先にある場所です。
金沢城のお堀の中で唯一埋められたことのない水堀で、こちらでは水面に映る桜はもちろん、金沢城大手門周辺の石垣とともに桜を眺めることができます。
大手堀横にある金沢城大手門は江戸時代は金沢城の玄関口でした。桜の時期になると出てくる金沢城石川門は当時は「勝手口(裏口)」扱いだったので、大手門のほうが巨石を使用した加賀百万石のスケールを感じることができる石垣と桜を眺めることができます。
また、金沢地方裁判所も昔からの桜の名所で、2013年に建て替わったガラス張りの近代的な裁判所と桜のマッチも見事です。
3.金沢城 石川門周辺・百間堀
こちらは言わずと知れた金沢城石川門周辺の桜です。
先ほどは勝手口と紹介しましたが、桜を見たいなら外せないスポット。ただし人はかなり多く、観桜期は一番人が溢れる時期です。
そして兼六園と金沢城石川門の下を抜ける「百間堀通り」。かつては水堀でしたが明治時代に水は抜かれ、現在は道路として利用され日本の道路100選にも選出されています。
石川橋から眺める百間堀通りのどこまでも続く桜並木は絶景でしょう。
4.金沢城公園 丑寅櫓跡・辰巳櫓跡
金沢城公園内の丑寅櫓跡・辰巳櫓跡は、特徴で挙げた”起伏に富んだ地形”ならではの桜のパノラマが鑑賞できるスポットです。
元々は金沢城の櫓があった場所で、眺望は文句なし。丑寅櫓跡からは桜に包まれた茶店通り(江戸町通り)や卯辰山、辰巳櫓跡からは金沢21世紀美術館方面、犀川沿いの桜並木などを見ることができます。
5.金沢城 五十間長屋・菱櫓周辺
上では2箇所金沢城公園の桜を紹介しましたが、五十間長屋周辺の桜並木もとてもおすすめです。最大の特徴は長く続く桜のトンネル!
上を見上げても横を見ても桜です(笑)
6.兼六園
兼六園も言わずと知れたお花見スポットですよね。特に兼六園で美しいスポットと言えば金沢城石川門から最も近い入り口「桂坂料金所」を抜けた辺りのエリア(桜ヶ岡)、そして、根上松近くの花見橋周辺です。
桜の本数は多く、見事ですが、兼六園は四季折々魅せる木々のバランスが取れている分、金沢の中で桜がダントツ美しいかと言われると金沢城周辺のほうがおすすめしてしまうかもしれません。
7.尾山神社
尾山神社の桜の本数はそれほどありませんが、特に擬洋風建築である尾山神社神門(国重要文化財)とベストマッチしているのがいいですね。
神社=鳥居という概念を覆した神門。明治時代当時の金沢のシンボルです。
8.犀川沿い(W坂、桜橋、河川敷)
犀川沿いとひとくくりでまとめてしまいましたが、見どころが多いです。
上の写真は犀川大橋近くから撮影したもので、「おとこ川」犀川の雄大さとその勢いが見てわかるかと思います。そしてどこまでも続く桜並木も圧巻ですね。
また、犀川に架かる桜橋はサクラ色をした橋で、バックの桜と人が歩いている様子がまるで物語が始まりそうな雰囲気ですよね。
桜橋の先には「W坂」という坂があり、そこを上ると台地の上から、金沢市中心部と犀川の桜並木が一望できます。地形に富み、川が市街地を流れている金沢ならではの風景です。
9.浅野川周辺
一方で町家が多くあり、流れも緩やかな「おんな川」、浅野川沿いの風景です。写真は中の橋から撮影したものですが、主計町周辺の川沿いに並ぶ町家と桜並木、その先には浅野川大橋が見える、こちらも金沢の特徴的な風景ではないでしょうか。
浅野川大橋の上流へ行くと河川敷へ下りられる場所があり、そこからもう少し低い視点で眺めてみるのも良いですよ。近くにはひがし茶屋街もあり、ついでにふらっと立ち寄ってみるのもいいかも入れません。
10.主計町
主計町は「浅野川沿い」とまとめてもよかったかもしれませんが、別々に紹介します。こちらは冒頭で述べた、非戦災都市で路地が多く残るため、路地の中に桜が咲いているスポットです。
このヒューマンスケールの路地に”たたずむ”桜が非常に心をくすぐります。
浅野川沿いに出ると、かつてはお茶屋だった町家と桜がベストマッチしており、トヨタのアクアのCMのロケ地ともなっている場所です。
11.金沢21世紀美術館
桜スポットというほどではないかもしれませんが、美術館の周りには枝垂桜などが植えられており、金沢21世紀美術館の曲面ガラスに反射するのを見るのもまたおすすめです。
町家など古くからの建物だけでなく、現代建築とも一緒に眺めてみるのも良いかもしれません。
さいごに
ちょっとまとまりが悪くなってしまいましたが、金沢市内の桜のスポットをご紹介しました。想像以上にメジャースポットしかないと思った方もいるかもしれませんが、今後もさらに追加し、完全版が作れたらと考えています。
桜の花だけを見つめるのではなく、その土地ならではの風景や建物、路地なんかと合わせながら散策すると、桜以外でも春を感じられる出会いがあるかもしれませんね。