金沢駅西口に建設予定の外資系ホテル「ハイアットセントリック」と中長期滞在型アパートメント「オークウッド」について、内容が一部変更となったことが明らかになりました。
2017年2月17日公開
2017年3月15日加筆
(画像:優先交渉権者等の決定(平成28年7月8日公表)‐ 金沢市 より引用)
1.中長期滞在型アパートメントもハイアット系に
各紙の報道によると、オークウッドが手掛けることになっていた、中長期滞在型アパートメントは、ハイアット系のブランドとする方針が示されたそうです。事実上、オークウッドが金沢に進出する可能性が無くなりました。
デベロッパーのオリックスは、中長期滞在型施設について、ハイアットセントリックと同系列のハイアット系のブランドとすることで、一体的な運営が望ましい。より効率的な運営ができる、としています。
中長期滞在型施設が入る予定のサービスアパートメント棟(SA棟)に設けられる分譲レジデンスについてもオークウッド系になるのかハイアット系になるのか不明でしたが、おそらくハイアット系が入る可能性が高いです。
2019年にニセコに「パーク・ハイアット・レジデンス」が国内初進出するため、同様の分譲レジデンスが設けられるのかもしれません。
(参考記事:日本初のレジデンス付き「パーク ハイアット」が北海道ニセコに 19年開業 (fashionsnap.com))
(画像:優先交渉権者等の決定(平成28年7月8日公表)‐ 金沢市 より引用)
2.地下駐車場を一部地上へ
2つ目は地下1階~地下2階に300台の地下駐車場を設けるとしていましたが、こちらについても変更がありました。
地下2階を設けず、地下1階と地上に駐車場を計250台程度設ける方針となりました。単純に地下1フロア150台の収容能力であることを考えると、地下1階を拡張したとしても地上には50~100台程度の駐車場を設けるということでしょうか。これは(よくわかりませんが)「周辺の交通環境を考慮した」とされています。
3.階数が一部変更へ
階数も一部変更となりました。
ハイアットセントリックが入る「ホテル棟」が地上15階から14階に減ります。
ハイアット系ブランド(オークウッドが入る予定だった)が入る「サービスアパートメント棟(SA棟)」が地上17階から15階に減ります。
ただ、建物の高さは地上60mのまま変わりません。
これは「それぞれの階の天井を高くするため」ということです。
これに関しては仕方ない部分があると思います。
いくら地上60mでもSA棟が17階だと天井が低いのではないかと懸念していた部分もありました。
階高(床面からすぐ上の階の床面までの高さ)を単純計算(60m÷階数)で試算すると、SA棟は地上17階では約3.5mだったのに対して、地上15階では4m確保できます。ホテル棟は地上15階では4mだったのに対して、地上14階では約4.3m確保できます。
基本的にロビーは天井高にする傾向を考えると、階数は妥当になったんじゃないですかね。
4.中長期滞在型施設の客室数が変更へ
SA棟のフロアが2フロア削減されたことから中長期滞在型施設の客室数が、109室から約90室に変更されました。
SA棟に入る予定の112戸の分譲レジデンスは変更があるのかは不明です。ホテル棟のフロアは1フロア削減されましたが、客室数に変更はないです。
5.ホテル・中長期滞在型施設の客室面積が変更へ
ホテル・中長期滞在型施設の客室面積が変更され、ホテルは標準35㎡から30㎡~50㎡未満に、中長期滞在型施設は標準47㎡から30㎡~50㎡未満に変更されました。
これもフロア削減や客室数の維持のしわ寄せがきているようです。ただ、標準タイプの客室面積が30㎡~50㎡未満と幅を含ませているため、実際は当初計画より大きくなる場合もありそうです。
以上をまとめると・・・
以上の5つの変更点をまとめると・・・
ホテル棟
変更前 | 変更後 | |
運営 | ハイアット | ハイアット |
階数 | 地上15階 | 地上14階 |
客室数 | 250室 | 250室 |
客室面積 | 標準35㎡ | 標準30㎡~50㎡未満 |
サービスアパートメント棟(SA棟)
変更前 | 変更後 | |
運営 | オークウッド | ハイアット系 |
階数 | 地上17階 | 地上15階 |
客室数 | 109室 | 約90室 |
客室面積 | 標準47㎡ | 標準30㎡~50㎡未満 |
(表は一部、北國新聞を基に作成)
駐車場
変更前 | 変更後 | |
駐車台数 | 地下2階、300台 | 地下1階・地上 250台 |
以上、5つの変更点はこのようになりました。
◆2017年3月15日加筆
完成イメージパースの比較
(画像:
上◆NHK金沢放送局ニュース内より引用
下◆優先交渉権者等の決定(平成28年7月8日公表)‐ 金沢市 より引用)
上のイメージが新たに示されたものです。低層階のフロア面積が増えたように見えますね。側面を見る限りホテル棟の奥行きは減ったようです。
(画像:
上◆北國新聞より引用
下◆優先交渉権者等の決定(平成28年7月8日公表)‐ 金沢市 より引用)
こちらのほうがイメージをつかみやすいかもしれません。
ホテル棟は奥行きは減ったものの、正面の幅が広がりました。
完成イメージを見ると大幅な変更はほとんどなく、個人的には、変更案の方がデザインはいいように見えます。
提案内容のメリットが減った形に
金沢駅西口の外資系ホテルは、金沢市がインターナショナルブランドホテル誘致をプロポーザル方式で行ったもので、2016年7月に開発事業者がオリックス、進出ホテルはハイアットセントリック、オークウッドに決定しました。
(参考記事:「ハイアットセントリック」が金沢に進出!高級ホテル 2020年開業へ!)
個人的に、公募型プロポーザルの提案から階数や客室面積は前後しても仕方ない(というか、変更されて当然)と思いますが、オークウッドからハイアット系に変更された点や駐車場を一部地上にしたことは、少し引っかかります。
オリックス側が金沢市に提出した提案概要書(http://www4.city.kanazawa.lg.jp/data/open/cnt/3/23395/1/teiangaiyou.pdf)
を参照すると、メリットがいくつか失われた形になったことが分かります。
>ホテル・サービスアパートメント(SA)
世界で愛される 2大ブランドの競演
国際的に評価が高く、インバウンド集客力の高い、市内既存ホテルとは一線を画す個性のある2つのブランドを選定。この革新的な2大ブランドが、金沢のステータスを一層高める。
>インバウンド推進施策
ハイアットセントリック インバウンド宿泊比率 No.1
×
オークウッド グローバルサービスアパートメントプロバイダー No.1
>施設配置
駐車場全地下化
300台収容の駐車場は、全て地下に配置。
など、5社の公募型プロポーザルで他デベロッパーを引き離したであろうメリットの変更により一部が失われたような感じです。公募型プロポーザルは様々な観点を点数化し、最も点数の高いデベロッパーが選ばれる方式でした。仮に、この変更で再び点数化し、次点の事業者より点数が下回ると次点の事業者としては不満ではないでしょうか。
今回は金沢市側が変更内容を了承した形になりましたが、金沢市が20年以上暫定利用で保有し、現在の地価より割安で売却することから、中途半端な施設になってほしくありません。
また、別問題で、土地から汚染物質が検出された問題も、金沢市側がもう少し早く気づくべきだったでしょう。(国鉄清算事業団やオリックスと検討したうえで土の入れ替えを行うようです)
オリックスと金沢市は年度内にも土地売買仮契約の締結を目指すそうです。