先日、富山県南砺市福光地区(旧福光町)へ行ってきました。
目的は、防火建築帯を見ることです。
防火建築帯とは?
街の防火を目的に、1952年(昭和27年)、耐火建築促進法が法律第160号で施行され、この法に基づく防火建築帯造成事業が開始される。都市の中心部に地上3階以上、 高さ11メートル以上の耐火建築物が帯状に建設された防火帯を作ろうという目的で、防火建築帯は長屋形式の共同商店建築を成していた。都市の不燃化のみならず、共同化による都市の高度利用をも目的とし、日本の市街地改造の系譜の中で初期の試みという位置づけがなされている。(Wikipediaより引用)
戦後に起こった大火をきっかけに、全国に防火建築帯がつくられました。
北陸地方でも各都市に防火建築帯が残っています。(いずれシリーズ化したいところです)
今回紹介するのは福光地区の「ハミングロード東町商店街」の防火建築帯です。
福光町は1979年に「福光大火」があり、焼失棟数116棟(焼失面積1.4ha)に上りました。そのため、町内の防災意識が非常に高いものだと思われます。
ハミングロード東町商店街は、南砺市となる前の旧町で最大の人口(2万人)を誇った、福光町の中心部にある商店街です。
そして、福光駅前に広がる、福光駅前の商店街も紹介します。
どちらも建築時期は福光大火前の1975年前後と推測されます。
福光駅前の商店街
まずは福光駅前の商店街です。
昭和の香りが残る防火建築帯が道路沿いにびっしり建っています。
オレンジ色の照明もかわいいです。
注目すべきは、緩やかな上り坂に沿って建物がやや階段状になっている点です。地形に合わせて地上3階建ての防火建築帯が並ぶ様子は美しいものです。
また、ファサードも賑やかなところがいいですね。近年は景観条例等で落ち着いた外観ばかりなので、刺激的です。
反対側から見た様子です。
この日はお祭りが開催されていました。
緩やかなカーブと防火建築帯・・・たまらんです。
ハミングロード東町商店街
そして、今回の本命、ハミングロード東町商店街です。
見てください!この防火建築帯の雰囲気!
1970年代の街並みがそのまま残っているようです。
ちょうどお祭りに使われていた曳山とともに。
こちらも緩やかにカーブして、やや上り坂になっていて、ちょっと日本離れした景観に吸い込まれそうです・・・!
お祭りに出ている人たちと商店街のスケールを比較してみるのもまた面白いです。
上の写真と反対側から見た様子。
いよいよ商店街に潜入しました。
この雰囲気すごいです。
防火建築帯の一つをピックアップ。
5棟が連続的につながり、一つのビルとなっています。
ハミングロード東町商店街のもう一つの特徴は煉瓦タイルを使用した建物が多く、ちょっと欧風的な香りもするところです。
道路沿いにびっしりと3階建ての建築が連なっているのが圧巻でした。
合併前、人口2万人の小さな町だった商店街には思えない規模です。
この商店街含め、7つの商工会があるのは驚きです。
ちょっとお店に入ったところにNTTの公衆電話があるところもいいですね
このカーブたまらんですね・・・!
オレンジ色の統一された看板にお店の名前が並びます。
防火建築帯外観に並ぶ無数の看板もこの乱雑具合が個人的には好きです。
こちらの”ファッションプラザ”。いい味出していますね~
いかがでしたか?
福光町の防火建築帯は
①斜面に建っている点
②緩やかなカーブを描いている点
③煉瓦タイルを用いている点
が特徴的で、独特の都市景観を形成していると感じました。
また、気になる防火建築帯があれば見ていきたいと思います。