建築

富山県美術館が環水公園に開館! 内観の様子

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富山県美術館は、昭和56年に開館した富山県立近代美術館の老朽化や消火設備がスプリンクラーであることなどにより国内外の美術館連携から孤立することにならざるを得ないため、富岩運河環水公園に隣接する県有地に新築されました。

 

今回は完成編の内観の様子です。

 

概要

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(富山県立近代美術館の完成イメージ (富山県美術館開設準備委員会 より引用))
名称:富山県美術館
敷地面積:12,548㎡
延床面積:14,990㎡
構造:地上3階(屋上には庭園を設置)
駐車台数:103台(1階屋内駐車場)
本体工事費:76億円
設計: 内藤廣建築設計事務所

新美術館の設置、運営の理念と特徴

(1)アートとデザインをつなぐ、世界で初めての美術館 世界的コレクションを展示方法に工夫を凝らし、新しい切り口やテーマ、見せ方で紹介し、来館ごとに何かを発見してもらえるような企画を展開する。
(2)立山連峰の美しい眺望、四季折々の景色が飛び込んでくる富山の新しいビューポイント 屋上や館内から環水公園や立山の眺望を楽しめ、公園に遊びに来る感覚で、気軽にレストランやカフェ、ミュージアムショップに訪れてもらい、多くの人に集い、楽しんでもらう。
(3)鑑賞するだけでなく、見る、創る、学ぶといった双方向で美術を体験 アトリエでの創作とギャラリーでの展示、アトリエでの作家の公開制作などにより、双方向の美術体験と、体験の共有による新たな交流の場を生み出す。
(4)芸術文化やデザインの振興はもとより産業の活性化にも寄与新たなデザインによる工芸品や、伝統工芸とコラボした土産の開発などにより、産業振興にも寄与する。
(5)時代とともに成長して、価値が高まっていくような美術館 地方創生、人口減少など時代が大きく変わりつつあるなかで、県民の皆さんに親しまれ愛され、時代とともに成長して価値が高まっていくような美術館を目指す。

富山県美術館開設準備委員会 より引用)

 

 

今後の予定

2017年3月25日 部分開館

2017年4月29日 屋上庭園「オノマトペの屋上」 開園

2017年8月26日 全館開館

 

 

 

施設の内容

1階は主に屋内駐車場、エントランスが設けられるほか、ミュージアムショップやカフェが設けられます。

2階は企画展示室及び常設展示室が設けられ、ホワイエは2階、3階吹き抜けで天井高11mの開放的な空間になります。

3階はポスターや椅子など特色のある展示室、東京日本橋の「たいめいけん」が地方都市初出店します。

屋上は”子どものスペースとし、親子がアートやデザインを体で感じ取れる場”とし、子ども達に大人気のふわふわドームのほか、佐藤卓氏によるデザイン性の高い造形遊具を設置するなど、公園のようなスペースとなります。また、地上から屋上まで気軽に行くことが出来る大階段が美術館の外周に設置されます。

 

 

1階の様子

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1階の様子です。天井には木材が使用されており、ぬくもりがありました。

天井はやや低くて少し圧迫感ある印象を感じましたが、これも工夫の一つなんだと後で実感することに・・・

チケットカウンターや売店、カフェなどがあります。

今回は美術館のプレオープンとなっており、美術品が無いため、全館無料開放されていました。

 

 

 

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また、1階裏手には駐車場が整備されています。

 

 

 

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そして、1階の企画展示では富山県美術館ができるまで、経緯や設計の工夫などが紹介されていました。写真は木型模型です。

 

 

 

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富山県美術館は展示室1室1室をトラス構造(メガトラス構造)とし、空間構成の異なる上下階の構造的な不整合を吸収しているみたいです。

 

 

 

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さて、1階から2階へと続く階段を上っていくと…

 

 

 

2階の様子

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2階と3階が吹き抜けの大空間が出現!

1階の天井がやや低かったのもこの大空間とのギャップを演出するためだったのかと思ったり。

なんとなく、2015年に富山市中心部に開業した再開発ビル「TOYAMAキラリ」にも似ていると思いました。

 

 

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高さ11mの吹き抜けに富山県美術館のロゴマークが大きく掲げられていました。

 

 

 

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とても気持ちの良い空間です。

 

 

 

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2階南側の様子です。

 

 

 

美術品が全く無い展示室に感動!

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展示室も公開されていました。

入り口は氷見産のスギの木がふんだんに使用されており、木のいい香りがたまらなかったです。

 

 

 

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内部には・・・なにもない!

冒頭でも述べましたが、美術品が無い状態でのプレオープン状態なので、作品が全くないのです。その代わり、入館料も無料となっています。

 

 

 

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でも、美術品が置かれていない空間も新鮮で良くないですか?(笑)

個人的にはとても満足しました。

 

 

 

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仕切りはあるものの、展示品が無く、音も無い、”無の空間”を歩いていました。

 

 

 

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現在、湿度や温度などの調整を行っているみたいでした。

 

 

 

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防火扉(?)も外壁が氷見産のスギの木でできていました。

 

 

2階通路

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2階通路は壁、床、天井が氷見産のスギの木を使用した贅沢な空間になっていました。この空間が個人的に一番気に入りました。

館内を歩いていた方からも「まるで温泉旅館に来たみたい」「木のいい香りがする、ここで寝たい」など話されていました。

 

 

 

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シンメトリー

 

 

 

3階の様子

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3階へとのびる階段を上っていきます。

途中に踊り場があるのもポイント。

階段にも木材が使用され、贅沢な空間です。

 

 

 

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3階から2階を見下ろす。

 

 

 

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3階も同様に木材が使用された通路が印象的でした。

 

 

 

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そして、展示品が無い展示室が素敵すぎて。

 

 

 

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将来的に入るであろう展示品に合わせて作られており、一つ一つ個性があり、この空間を見ているだけでも芸術性があると思いました。

 

 

 

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こちらは錆び鉄板が壁に用いられています。

 

 

 

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3階から2階を見下ろす南側の階段。

錆び鉄板が張られている空間がせり出しているのが面白いです。

 

 

 

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そして、再び、美術品が無い空間。

ここにはポスターや椅子が展示されます。

 

 

 

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あとは飾るだけ、となっています。

木と白で統一された空間がいい感じです。

 

 

 

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もう一枚。

 

 

 

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通路にはポスターが見られる、巨大タッチパネルが5台設置されていました。

 

 

 

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アトリエには一般の方が制作した作品が並んでいました。

 

 

 

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そして、地方都市初出店の「たいめいけん」が3階にありました!

 

 

 

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店内もオシャレなカフェのような空間でした。

 

 

 

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そして、3階からの環水公園と富山を代表する都市景観!

晴れた日にはその背後に立山連峰が見えます!

 

 

富山県美術館を2回にわたって見てきました。

内装外装ともに富山の素材をふんだんに使用し、バックには立山連峰も望め、建築自体が美術品となっているようでした。

 

 

 

建設中の様子

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