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【特集】金沢のホテル建設ラッシュは続く!2023年にかけて更に2000室以上開業か!?今後はどうなる?

金沢で続くホテルの建設・開業ラッシュについて、久しぶりに見ていこうと思います。

その前に2017年の1月に、【特集】金沢でホテルの建設ラッシュが再燃!2020年までに1800室供給へ!?という記事を書きました。

【特集】金沢でホテルの建設ラッシュが再燃!2020年までに1800室供給へ!? 金沢でホテルの建設ラッシュが再燃しています。 舞台は、北陸髄一のオフィス街上堤町・下堤町界隈です。 北陸新幹...

要約すると、金沢では北陸新幹線金沢開業決定(2005年~)、新幹線開業前(2014年~)に続き、北陸新幹線開業後(2017年~)と第3の波が訪れていることを書きました。

新幹線開業とともに観光客が急激に増加し”金沢ブーム”とも言われましたが、ブームどころか外国人観光客の増加も重なり、新幹線開業後の観光客数は低下することなく、キープしています。

 

2017年時点での建設ラッシュと今後の予測について

当時は、北陸随一のオフィス街(上堤町・下堤町)の百万石通り沿いでホテルが増加していることを書きました。

背景としては、中心市街地の銀行の統廃合・オフィスの更新時期だったこと、北陸新幹線による観光客増加により観光地へアクセス抜群の上堤町・下堤町界隈がホテル開業にうってつけだったことが要因と考えられます。

老朽化したオフィスを建て替えるのではなく、車や鉄道でのアクセスが便利な金沢駅西口へオフィスの新規建設・移転をしたい金融機関がいる一方で、観光地からアクセス抜群の一等地が欲しいホテルデベロッパーの利害が一致した形となります。

こうしたことから2017年から2020年(2019年いっぱい)までにホテルの客室は1750室程度増えると個人的に予想していました。

 

2020年までに2000室以上増加!予想を上回るペースに

金沢市の宿泊施設の状況(2019年10月末)では、

ホテル…87件 10,843室
旅館…54件 665室
簡易宿所…220件 808室
民泊…43件 49室

となっています。

2019年3月の調査で金沢市内のホテルは10,000室を突破しました。
宿泊施設総数では2018年3月末に10,000室を突破しています。

2017年3月末 2019年10月末 客室数の変化
ホテル 8,750室 10,843室 △2,093室
△23.9%
旅館 704室 665室 ▲39室
▲5.5%
簡易宿所 423室 808室 △385室
△91.0%
民泊 49室 △40室
総数 9,877室 12,365室 △2,488室
△25.1%

(△はプラス、▲はマイナス)

表を見ると分かるように、2017年3月末と比較して、ホテルは2,093室増加し23.9%の増加、全体の宿泊施設客室数は2,488室増加し25.1%の増加です。

3年間足らずで金沢市のホテル客室数は、20%以上増加したことが分かりました。

当初、個人的に予想した1750室(15%の増加)を大幅に上回りました。

都ホテルの再開発(建設未定)やハイアットセントリック金沢(2020年開業)も1750室の中に含んでいたため、当初予想をはるかに超えていたことが分かります。

 

2017年から2019年内に開業した主なホテル一覧

2017年から2019年内に開業した主なホテル/簡易宿所を並べてみました。

2017年

カナメイン タテマチ ホテル/地上9階地下1階/38室
金沢カプセルホテル武蔵町 簡易宿所/地上6階/120室
KUMU金沢 簡易宿所/地上8階/47室
ユニゾイン金沢百万石通り ホテル/地上13階地下1階/220室
ホテルリブマックス金沢駅前 ホテル/地上6階/85室
金沢 雨庵 ホテル/地上6階地下1階/47室

 

2018年

ウィングインターナショナルプレミアム金沢駅前 ホテル/地上13階/121室
ホテルビスタ金沢 ホテル/地上11階/213室
ファーストキャビン金沢 簡易宿所/地上9階地下1階/175キャビン
ザ スクエアホテル金沢 ホテル/地上13階/186室
ホテルトレンド金沢駅前 ホテル/地上6階/81室

 

2019年

三井ガーデンホテル金沢 ホテル/地上13階地下1階/158室
ホテルインターゲート金沢 ホテル/地上12階/166室
ユニゾインエクスプレス金沢駅前 ホテル/地上12階地下1階/392室
ホテルトレンド金沢片町 ホテル/地上7階/69室
ホテルフォルツァ金沢 ホテル/地上9階/193室
D-PREMIUM金沢 ホテル/地上14階/177室
アゴーラ金沢 ホテル/地上12階/200室
変なホテル金沢香林坊 ホテル/地上12階/131室

当サイトで建設を追ってきた建築物だけでも、3年間で19件のホテルが建設・開業しています。

 

ホテル開業エリアは3極化

実際に金沢に開業した(予定)のホテルをマッピングしてみました。

オレンジ…2017年開業
緑…2018年開業
ピンク…2019年開業
青…2020年以降開業計画

新幹線開業後に最初に開業したホテル(2017年)は、オフィス街だった「上堤町・下堤町」エリアに集中していることが分かります。

2018年・2019年になると上堤町・下堤町界隈のみならず、金沢駅西口(及び北側)、片町へと建設エリアが拡大しました

 

今後、建設予定のホテルを含めても、

武蔵ヶ辻~南町(上堤町・下堤町)界隈

片町

金沢駅周辺

の3エリアに集中していることが分かります。

 

武蔵ヶ辻~南町界隈

元々、オフィス街というイメージが強かった界隈はホテル街へと変貌しました。

 

上が2017年、下が2019年の写真です。

新幹線開業後、半径200mで8件のホテルが開業しました。

 

今後開業予定のホテルも含めると、上堤町交差点を中心に12件開業と、金沢の新たなホテル街となります。

要因としては、

  • 百万石通り沿いで公共交通アクセスが抜群
  • 特に、近江町市場が近い
  • 老朽化したオフィスビルが依然多い状況
  • 地価が駅周辺と比べると割安

などでしょうか。

 

 

片町

片町界隈は新幹線開業前及び、開業直後は動きが少なかったエリアです。

 

特に大型ホテルは2003年以降建設が無かったのですが、2018年より駅周辺や武蔵ヶ辻~南町界隈に次ぐ、第3のエリアとして注目されはじめ、現時点では7件のホテル/簡易宿所が開業・計画中です。

元々、北陸随一の若者の街として知られたタテマチでもホテル開発の波が来ています。

要因としては、

  • 百万石通り沿いで公共交通アクセスが抜群
  • 特に、居酒屋が密集する片町が近い
  • 老朽化した雑居ビルが依然多い状況
  • 地価が駅周辺と比べると割安

などでしょうか。

しかし、まとまった土地が出てこないため、小さな面積での建て替えが多いです。

 

金沢駅西口

金沢駅西口は新幹線開業前に2件新規ホテルが開業後、開発ラッシュが続いているエリアです。

 

駅周辺はホテルのみならず、オフィスビルや医療施設、立体駐車場などの開発もあったため、ホテル用地が少ない状況です。

このため、金沢駅から通りを入った裏通りの開発も旺盛です。

要因としては、

  • 金沢駅近で新幹線・公共交通アクセスが抜群
  • 開発土地は減っているものの未開発用地も多い
  • 地価が一等地と比べると割安(裏通り)

などでしょうか。

 

富山駅周辺でも活発化

ホテルの建設ラッシュは金沢エリアを飛び出し、富山駅周辺でも活発化しています。

富山駅周辺ではホテルの建設計画が相次いで発表されており、金沢では土地が見つかりにくい中、新幹線全列車停車駅である富山駅周辺も注目されています。

ホテルJALシティ富山 ホテル/地上10階/250室/2022年完成
ホテルヴィスキオ富山 ホテル/地上12階/190室/2022年完成
ダブルツリーbyヒルトン富山 ホテル/階数未定/201室/2022年完成
東横イン富山駅新幹線口3(仮称) ホテル/地上14階/247室/2021年6月完成

外資系ホテルのヒルトンのカジュアルブランドなどやJALの宿泊特化型ホテルなど、金沢とはまた違ったラインナップとなっています。

 

2020年~2023年にはさらに2000室以上が開業か?

金沢には既にホテルが沢山開業した印象ですが、独自調査ではさらに2020年から2023年の4年間でホテルが2000室以上開業することが分かりました。

客室数が未定の部分は、延床面積から算出した推定客室数です。
実際と異なる場合があるのでご了承ください。

2020年開業予定

名称 概要 客室数 備考
東急ステイ金沢 地上13階 167室
金沢上堤町ホテルPJ(仮称) 地上9階 未定
50~80室程度?
東京建物不動産販売のリノベーションホテル
ファーストホテル広坂 地上6階 40室
御宿野乃金沢 地上13階 307室
ハイアットセントリック金沢 地上14階 250室
ハイアットハウス金沢 地上15階 90室
ダイワロイヤルの金沢駅西口ホテル(仮称) 地上12階 未定
200室前後
スーパーホテル金沢駅前 地上10階 未定
150室前後

 

2021年以降

名称 概要 客室数 備考
アパホテル金沢犀川大通 地上13階 215室 APA
2021年2月完成予定
袋町土地利用計画(仮称) 地上8階 150室前後 大和情報サービス
2021年3月完成予定
片町1丁目計画(仮称) 地上6階 未定
100~150室前後
ザイマックス
2021年7月完成予定
Tマークシティホテル金沢片町 地上11階地下1階 未定
100~130室前後
マリモ
2021年6月完成予定
ホテルトリフィート金沢 地上13階地下1階 未定
150~200室前後
ビーロット
2021年夏完成予定
VACATION VENT 金沢 地上12階 28室 マムファミリー
2021年2月完成予定
(仮称)金沢尾張町ホテルプロジェクト 地上6階地下1階 223室 2023年初頭開業予定

以上の2020年~2023年開業予定のホテル客室数を合算してみます。

未定の部分は推測値の最小値を足すこととします。

すると、

2020年開業のホテルは1,254室
2021年~2023年開業のホテルは966室

合計すると、2,220室となり、さらに2,000室以上開業することが判明しました。

このほかにも、森トラストの計画、JR社宅跡地の計画、金沢都ホテル跡地の計画、片町の海側再開発の計画などを含めるとさらに増えることが予想されます。

 

金沢のホテルの今後は…?

金沢のホテルの今後はどうなっていくのか気になるところです。

ニッセイ基礎研究所が2019年4月に発表した、「基礎研REPORT(冊子版)4月号」によると、2020年、2030年のホテル稼働率予測が公表されています。

2020年のホテル稼働率予測 2030年のホテル稼働率予測
富山県 67.4% 67.0%
石川県 76.1% 76.7%
福井県 68.4% 64.4%

石川県においては、少なくとも2030年まではホテル稼働率は上昇するというデータが示されています。

ニッセイ基礎研究所

また、ニッセイ基礎研究所のデータを拝借させていただくと、ホテル稼働率を支えるのは主に外国人観光客になるようです。少子高齢化で国内旅行客は今後も減少傾向が続きます。

そして、もう一つ重要なことは、これらのデータは客室数を2017年で固定していることです。

金沢のホテルが本格的に開業ラッシュとなった2018年以降のデータは反映されておらず、過剰供給となる恐れも懸念されます。

さらなる競争の熾烈化が予想されるため、ホテル・旅館の各サービスの充実や、老朽化したホテルは大規模リニューアルや建て替えも視野に入れないと厳しいのではないでしょうか。

ハード面では、”ホテル(客室数)が多い都市”の性質を生かし、大規模コンベンションやMICE、大型ライブ・コンサートなどの開催可能施設の建設を視野に入れた、新たな需要も取り込んでいく必要があると思います。

(写真1)出島メッセ長崎 鳥観図

実際に長崎市では長崎駅直結のMICE施設「出島メッセ長崎」を2021年11月開業させることを決定しました。

観光+エンタメが楽しめるような街づくりにして、市民と観光客、ビジネス客、ホテル業界がWin-Winとなるような施設を作ってもいいのではないでしょうか。

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