北陸新幹線の金沢以西区間(小松駅~敦賀駅)の駅舎デザインの最終案が鉄道運輸機構から示されました!
それぞれ駅舎デザインは地域のコンセプトを考慮したものとなっており、2023年(令和5年)春の北陸新幹線敦賀延伸に向けて、さらに期待が膨らみます。
今回は鉄道運輸機構より示された、石川県内区間(小松駅・加賀温泉駅)の駅舎デザインの最終デザイン案を中心に、見ていきたいと思います。
北陸新幹線小松駅
(鉄道運輸機構)
北陸新幹線小松駅の外観イメージはこちらです!
データ
名称 | 北陸新幹線小松駅 |
デザインコンセプト | ふるさとの伝統を未来へつなぐ「ターミナル」 |
デザインイメージ | 慣れ親しんだ白山の雄大な山並みと未来を感じる ターミナル |
ホーム形式 | 相対式2面2線 |
ホーム長さ | 312m(12両編成対応) |
駅本屋面積 | 2,200㎡ |
階段 | 2箇所 |
エレベーター/エスカレーター | 2台/4台 |
鉄道運輸機構示した3案のうち、市民投票で以下のB案が採用されました。
イメージ図からかなり簡素なイメージもあり、小松の伝統文化を取り入れてほしいなどの意見が600件寄せられ、A案とB案の折衷案を鉄道運輸機構に要望していました。
(当時示された、A案)
(小松市)
そして、最終案は上のイメージとなりました!外観はB案の意匠を残しながら、1階内装にはA案の意匠が取り入れられています。
当初イメージより先進的なデザインの駅舎に仕上がっていると思います。
(小松市)
内装はこのような仕上がりになっています。天井には県産木材を使用し、イメージ図右奥の市松模様は小松市で採れる日華石や観音下(かながそ)石が用いられる予定です。また、九谷焼も用いられるとのこと。
県産木材は木目が美しい小松市産の「日用杉」が用いられるのではないかと思われます。
また、日華石は、東の帝国ホテル・西の甲子園ホテルと称された格式高い甲子園ホテル(現:甲子園会館)の外観や国会議事堂の廊下の一部にも用いられている石材です。
木とガラス、石が調和するコンコースは自然の産材が見事に調和していますね。
(小松市)
ホーム階はこのような感じになります!色はシルバーや白に統一されてすっきりとしています。
駅舎側面は山並みがイメージされており、ギザギザしている形になります。
天気のいい日には窓枠から切り取られたように白山の山並みが広がりそうです。
北陸新幹線加賀温泉駅
(鉄道運輸機構)
北陸新幹線加賀温泉駅の外観イメージはこちらです!
データ
名称 | 北陸新幹線加賀温泉駅 |
デザインコンセプト | 加賀の自然と歴史、文化を見せる駅 |
デザインイメージ | 温泉郷の風情と城下町の歴史を感じさせる駅 |
ホーム形式 | 相対式2面4線 |
ホーム長さ | 312m(12両編成対応) |
駅本屋面積 | 2,300㎡ |
階段 | 2箇所 |
エレベーター/エスカレーター | 2台/4台 |
鉄道運輸機構示した3案のうち、以下のA案が採用されました。
(加賀市)
最終デザインでは外観にあまり大きな変化はなく、落ち着いた和のデザインとなりました。
(加賀市)
内装・コンコースはこのようなデザインとなります。
待合室が中央にあり、両側にホームへ向かう階段が付いています。
特徴は待合室天井付近に瓦屋根がついており、これは加賀特有の赤瓦を採用しています。加賀市内には赤瓦の街並みとして重要伝統的建造物保存地区(重伝建)が2か所ありますし、個性が引き出されていますね。
また、柱には県産木材が使用されます。山中漆器の挽きのイメージをしたデザインもあるみたいですが、イメージ図では分かりませんでした。
(加賀市)
こちらがホーム階の完成イメージです!
加賀温泉郷をイメージした温泉街の街並みのようなホーム階となっています。特にイメージ図にも見える待合室が山中温泉や山代温泉の温泉街のように見えますね。他にも紅殻格子の意匠を用いた柱など細かなところまでこだわっています。
駅前にはガレリアが設けられます
(技術提案書‐加賀市より引用)
北陸新幹線加賀温泉駅の正面には、加賀市が建設する「北陸新幹線加賀温泉駅都市施設(ガレリア)」が設けられます。
ガレリアは赤瓦の屋根にガラス張りの独自性を持った、休憩・多目的空間となります。
(技術提案書‐加賀市より引用)
内部のイメージです。透明感あるガラス張りの空間の先には水景施設があり、さらにその背後には温泉街らしい茶庭的風情のある庭園が設けられます。
提案書には、
SNSで世界に映像が配信される時代において、画像を見た瞬間に加賀温泉駅とわかる特徴を持たせることで、他都市の新幹線駅との違いをアピールします。
(技術提案書‐加賀市より引用)
とあります。
例えば、北陸新幹線金沢駅では、金沢駅の付帯施設として金沢市がもてなしドームと鼓門を建設しました。
もてなしドームや鼓門自体には収益性はないものの、金沢のシンボルとして、全世界へ発信され、写真を見たら金沢駅だと分かるくらい認知度も上がっているのではないでしょうか。
こうしたことから、加賀温泉駅のガレリアも全国探してもないような独創性を持たせることで、山中・山代・片山津の各温泉街へ向かう前のファーストインパクトを持たせたいのではないかと考えています。
以上、北陸新幹線小松駅と加賀温泉駅の駅舎最終デザインについて見てきました。
石川県内の北陸新幹線駅舎の見た目の感想(独断と偏見)を述べると、
新旧の融合…金沢駅
マテリアルを活かした未来感…小松駅
温泉街の和のくつろぎと落ち着き…加賀温泉駅
といった感じでしょうか。3駅のそれぞれの個性がはっきりと出たように感じます。
2023年の敦賀延伸に向けて、引き続き工事の様子などを見ていければと思っています。
参考記事