石川県立図書館の移転計画が始動、金大工学部跡地に建設へ!

2017年12月16日プロジェクトNEWS

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石川県立図書館の老朽化に伴い、移転するプロジェクトが始動しました!

【2016年10月15日 公開】
【2017年12月17日 加筆】

石川県立図書館の現状

石川県立図書館は明治11年に兼六園内の県勧業博物館内に図書室を設置したのがはじまりで、2019年で140年を迎えます。
現在の建物は昭和41年に建てられたもので、昭和57年に増改築工事がされたのち、現在に至っています。
建てられてから50年が経過し、耐震基準も満たしていません。全国の都道府県立図書館の中では4番目に古い建物となっています。

また図書館の機能も他県と比べると十分ではないのが現状です。

石川県が調べたデータによると石川県立図書館と都道府県立47の図書館の平均を比較すると、

 

・建築面積 2,029㎡ 4,503㎡
・延床面積 8,461㎡ 10,409㎡
・駐車台数 32台   91台
・収蔵能力 85万冊  111万冊
・蔵書冊数 80万冊  100万冊
・年間来館者数 25万人 38万人
・年間貸出冊数 14万冊 39万冊
(石川県立図書館、都道府県立47の図書館の平均の順に掲載)
石川県立図書館の沿革と現状‐石川県

 

となっており、ここ20年間で建てられた都道府県立図書館7館平均ではさらに差をあけられているという結果でした。

特に年間貸し出し冊数や来館者数が少ない要因は、駐車台数が少ない上に、館内にゆとりがない石川県立図書館は利用者が少なく、金沢市立図書館(金沢市玉川図書館、金沢市泉野図書館、金沢市海みらい図書館)は比較的新しい上に充実した内容で人気があることもあるのかもしれません。
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移転先は?

移転先は、金沢市小立野にある、金沢大学工学部跡地です。

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現在の図書館から東へ2.5km先にある場所で、2007年に金沢大学移転計画の下、角間キャンパスへ移転した後、跡地利用が課題となっていました。

 

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一時期は土壌汚染も見つかり、ここ数年は土を総入れ替えする工事が行われていました。

 

敷地面積は81000㎡あり、中心部にしてはかなり大きな敷地です。
ここを石川県が34000㎡、金沢市が47000㎡取得し、石川県が石川県立図書館、金沢市が金沢美術工芸大学を移転させる計画です。

また、石川県と金沢市が取得する土地の境界にはアクセス道路を整備し、山側環状からのアクセスを向上させます。

敷地面積は現在の8倍となります。駐車台数も大幅に増えそうですし、ゆとりのある閲覧スペースは十分に確保できる面積です。

 

 

気になる問題点も…?

気になるのは、やはりアクセス面です。
アクセス道路により、加賀から能登までパイプをつなぐ山側環状と金沢市中心部を繋ぐ小立野通りで車でのアクセスは向上しますが、バスでのアクセスは場所によっては不便になります。
金沢駅からバスに乗ることを考えた場合、金沢市中心部は運賃が一律200円なので、現在の石川県立図書館までは片道200円で行ける上、香林坊や兼六園も近いためバス路線も充実しています。
これに対し、新しい県立図書館の建設予定地である小立野地区は金沢市中心部の運賃一律区間対象外なので、片道240円となる上、日中は一時間に4~5本となり、従来より本数も減ります。

今後、石川県内外の利用や市内の高齢者の増加を考えると、交通機関(バス)を用いてのアクセス向上は図ってほしいところです。

 

 

 

”建築”も重要


「石川は建築物目当ての観光客が多い。建築としてレベルが高いものに」といった意見や、「インターネット、デジタルで閲覧する時代に備えた配慮が必要」といった指摘が出た(石川県立図書館、金沢大工学部跡に移転 年度内に基本構想‐日本経済新聞)そうで、谷本石川県知事も「21世紀にふさわしい全国の最先端をいく中核図書館に仕上げる」、新図書館について建築も「レガシー」になるよう、質の高いものにすべきとするなど、知事、委員会からも「建築」についても多くの意見が出ていることは個人的には嬉しい事です。

 

 

近年の図書館建築は建築にこだわったものが多く、代表例としては伊東豊雄氏設計の、岐阜市の「ぎふメディアコスモス」などが代表例でしょう。
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(http://www.city.gifu.lg.jp/13422.htm-岐阜市)

この開放的で温かみのある館内は、新しい図書館にふさわしい雰囲気ではないでしょうか。
石川県立図書館も居心地が良い図書館になってほしいと思います。

今年度に構想の結論が出るそうなので、そこから計画策定を行い、設計した後、建設が始まるのでまだしばらく先になるかもしれませんが、できるだけこの大型プロジェクトを追っていきたいです。

 

 

以下は、2017年12月16日 加筆しました。

どのような図書館になる?

2017年3月末には新石川県立図書館基本構想が発表され、石川県立図書館の移転後の規模や施設内容が明らかになりました。

ざっくりとまとめると、

・開架図書は現在の3倍となる30万冊(現在は10万6千冊)
→過去20年で開館した都道府県立図書館の中ではトップクラス

・延べ床面積が約19,000㎡程度(現在は約8,500㎡)
→3大都市圏を除く全国の県立図書館で最大クラスの規模

・閲覧席は約500席 (現在は73席)

・書庫の収容能力は約200万冊(現在は85万冊)

・駐車場は400台を想定(現在は32台)

・建設費は100億円を想定

ということで、現在よりも非常に大きな図書館になることがよくわかります。

 

図書館の内部は主に、閲覧エリア知と情報のひろば・情報のアトリエのエリア書庫エリアに分かれます。

閲覧エリアでは、一般閲覧スペース、児童コーナー、石川コレクション(仮称)コーナー、石川に関する情報のコーナーが設けられる予定です。石川コレクション(仮称)コーナーでは伝統工芸品の実物展示などを想定しています。また、公文書館の機能を新たに備えます。

知と情報のひろば・情報のアトリエのエリアでは、多目的ホール、カフェ、学びの活動スペース、創造の活動スペースが設けられる予定です。学びの活動スペースでは勉学ができるエリアやグループ活動室を想定しています。創造の活動スペースではオーサリングやデジタルファブリケーションのための機能が設けられる予定です。

 

 

 

設計者が決定

設計者は公募型プロポーザル方式で選定されました。

第一次審査では参加表明のあった24者から、10者を選定し、第二次審査では10社から1社を選定しました。

結果、仙田満氏が会長を務める環境デザイン研究所が選出されました。

環境デザイン研究所は七尾市の弘法湯の建て替えにより、2003年に石川建築賞を受賞しています。

 

美しすぎる図書館がキャンパス内に!学生以外も利用可能な国際教養大学の図書館『中嶋記念図書館』がスゴイ ―BIGLOBEニュース より引用)

また、図書館建築としては秋田県の国際教養大学内にある「中嶋記念図書館」が非常に有名です。

日本の美しい図書館1位に選出されたこともある図書館で、木のぬくもりが感じられ、開放感あふれる内装ですね。

 

2018年には実施設計がされる予定で、完成イメージ図も明らかになってくると思われます。

スケジュール通りに計画が進めば、2022年までに開館する予定です。

向かいには金沢美術大学も同時期に移転してくることが想定されており、新たな知の拠点となりそうです。