プロジェクトNEWS

東京国立近代美術館工芸館の石川県移転が決定!2020年の開館を目指す!

文化庁、(独)国立美術館、石川県、金沢市において、「政府関係機関移転基本方針」(平成28年3月22日まち・ひと・しごと創生本部決定)に基づき、東京国立近代美術館工芸館(以下「工芸館」という。)の石川県移転についての検討状況が2016年8月31日に文化庁が公表しました。
独立行政法人国立美術館の東京国立近代美術館工芸館の石川県への移転に係る検討状況について-文化庁)

◆東京国立近代美術館工芸館とは?

 kindaibi
(画像:東京国立近代美術館より引用)
東京国立近代美術館工芸館は、陶磁、ガラス、漆工、木工、竹工、染織、人形、金工、工業デザイン、グラフィック・デザインなど、近現代の工芸およびデザイン作品を展示紹介する東京国立近代美術館の分館として、昭和52(1977)年11月15日に開館しました。建物は、明治43(1910)年3月に建てられた、陸軍技師・田村鎮(やすし)の設計による、近衛師団司令部庁舎を改修して美術館仕様の建物としたものです。(東京国立近代美術館より引用)

現工芸館は展示スペースが少ない上、収蔵庫も逼迫している状況で、「政府関係機関移転基本方針」に基づき石川県が金沢市内の移転を働きかけていました。収蔵品の中には石川県ゆかりの作家の作品も多く存在します。

 

◆東京国立近代美術館工芸館の移転場所は?

東京国立近代美術館工芸館(以下、国立工芸館)の移転先は、石川県金沢市の本多の森公園内に整備されます。

 kokuritubi
◯で囲ったあたりが建設予定地です。
兼六園や金沢城公園、金沢21世紀美術館、北陸随一の繁華街である香林坊からも近いです。

 

 

kindaibi2
◯で囲ったあたりを拡大した図です。
赤で囲った部分が建設予定地となります。

 

 

20160626_0542
(石川県庁出羽町分室の解体の様子)
過去には藩老本多蔵品館(石川県立歴史博物館へ移転)、石川県庁出羽町分室(周辺へ移転)がありましたが、既に解体済みです。

 

 

20160626_0555 
20160626_0559
隣接して、明治42年から大正3年にかけて建てられた、旧陸軍第九師団の兵器庫を活用した石川県立歴史博物館や、辻口博啓のカフェがある石川県立美術館がある、兼六園周辺文化の森の中核をなす、非常に好立地な場所です。

 

 

20160626_0556
建設予定地はこの辺りです。

◆どのような建築に?

このブログをやっている上でどうしても気になるのが、どんな建物になるのかです。
本多の森に相応しい建築を、と考えていましたが、文化庁側は「旧陸軍第九師団司令部庁舎,旧陸軍金沢偕行社を移築・活用することを念頭に関係機関との調整を進めることとする」そうで、なんと、本多の森周辺にある旧陸軍第九師団司令部庁舎,旧陸軍金沢偕行社を移築することを検討しているとのことです!

 

 

旧陸軍第九師団司令部庁舎

20160626_0570
明治31年に金沢城内に建てられました。昭和42年に現在地へ移転する際に両翼が半分に切り詰められました。
国の登録有形文化財になっています。
(参考記事:金沢に眠る戦争遺跡 第九師団司令部跡

 

 

旧陸軍金沢偕行社

20160626_0569
旧日本陸軍の将校クラブで、明治42年に現在地付近に建てられました。昭和42年に現在地で曳家された際に講堂部分が撤去されました。
国の登録有形文化財になっています。
(参考記事:金沢に眠る戦争遺跡 旧陸軍金沢偕行社

 

20160626_0571
2つのモダン建築は現在、隣接して建てられていますが、一般公開などはされていません。

 

両施設は移築される方針ですが、耐火・耐震機能や温湿度管理機能など美術館としての機能は不十分で現施設のまま活用することは難しいです。
そのため、建物は両施設の外側を切り離して取り付け、渡り廊下で両施設を繋ぐ建築物となります。内部は新築され、鉄筋コンクリート造で耐火・耐震機能や温湿度管理機能など美術館としての機能を果たす施設となります。
そして、同時に昭和42年に撤去された旧陸軍第九師団司令部庁舎の両翼と旧陸軍金沢偕行社の講堂部分が当時の資料を基に復元されることになりました。

というわけで、新しい国立工芸館の外観は明治期の旧陸軍施設を2棟繋げ、一部が復元された、非常にモダンな建築になるのではないでしょうか。

 

 

◆名称はどうなる?

現時点での正式名称は、「東京国立近代美術館工芸館」ですが、石川県へ移転するのに「東京」の文字が入るのはおかしな話です。
文化庁は「移転後の名称変更を検討する」としていますが、詳細は未定です。9月7日の北國新聞の取材で、宮田文化庁長官は「移転後の本館は金沢になる」という認識を示す発言をしています。
もしかすると、「金沢国立近代美術館工芸館」や「金沢国立工芸美術館」などの名称も考えられますね。想像ですが。
誕生すれば、日本海側初の国立美術館となり、文化立県・工芸王国の石川県を盛り上げる存在になりそうです。

 

 

◆開館時期は?

開館時期は2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時期までの開館を目指すそうです。
今後、さらに具体的な動きがありそうです。

まちゲーション取材リスト

クリックすると該当ページへ移動します

建設中リスト
竣工リスト
特集記事