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金沢市立玉川図書館別館は金沢市玉川町にある図書館の資料館。

元々は旧専売公社C-1号工場(1913年)の建物で、金沢市立玉川図書館(1978年)の建設時に金沢市が専売公社から譲り受け、外観を保存し、内部は鉄筋コンクリート造にしています。

 

 

概要

名称:金沢市立玉川図書館別館(旧専売公社C-1号工場)
敷地面積:不明
建築面積:691㎡
延床面積:不明
フロア:煉瓦造2階 瓦葺き
竣工年:1913年(大正2年)
撮影年:2017年5月
その他:

設計:大蔵省臨時建築部(矢橋賢吉)

【国登録有形文化財】
【金沢市指定保存建造物】

 

大蔵省臨時建築部によって建設された煙草工場で,設計は建築部長妻木頼黄の下で矢橋賢吉が手がけたと推定されている。1・2階を一体に扱う窓廻りのアーチの構成と煉瓦造の外観に特徴があり,明治の大蔵省臨時建築部の作風を示す標準となる好例である。

文化遺産オンライン より引用)

 

 

 

 

 

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今回は、玉川図書館ではなく、玉川図書館別館(近世資料館)の建物について見ていきます。

旧専売公社C-1号工場として使用されていた建築物。金沢専売支局(金沢煙草製造所)として建設されました。

 

 

 

専売公社とは?

専売公社とは、1898年(明治31年)に葉タバコの専売を開始し、大蔵省管轄の葉煙草専売所を設置したことが始まりです。

戦後には日本専売公社となり、日本電信電話公社、日本国有鉄道とともに公共企業体(三公社)

郵便事業、国有林野事業、日本銀行券・郵便はがき等の印刷事業、造幣事業、アルコール専売事業は国の経営する事業(五現業)

これらを三公社五現業と呼ばれていました。

現在はそのほとんどが民営化、独立行政法人となっています。

 

この赤レンガの建築物は日本専売公社金沢たばこ工場(旧金沢煙草製造所)として、1972年10月に金沢市米泉町に移転するまで稼働していました。

1973年(昭和48年)から赤煉瓦の工場の解体工事が始まりますが、赤レンガの建物の一部を金沢市が譲り受け、図書館の一部として第2の人生を送ることになりました。

1996年(平成8年)には国の登録有形文化財となりました。

解体前の日本専売公社金沢たばこ工場(旧金沢煙草製造所)については後半に紹介したいと思います。

 

 

 

 

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煉瓦はイギリス積みで、大きな赤レンガの壁となっています。

 

 

 

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窓のアーチが美しく、白い窓と相まってとってもモダンですね。

設計・建築に携わった矢橋賢吉氏は旧石川県庁舎(1922年)や国会議事堂(1936年)を設計した建築家・営繕官僚です。

旧石川県庁舎(現在のしいのき迎賓館)よりおよそ10年前に設計しており、金沢市中心部に突如出現した赤レンガの巨大工場に当時の市民は文明開化を感じたことでしょう。

 

 

 

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南側から見た様子です。

白いサッシの窓のおかげで重厚感を和らげ、全体が軽い感じになっていますね。

 

 

 

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アーチ状の窓が連なっています。

 

 

 

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赤レンガ建築でアーチ状の窓と言えば、金沢市広坂にある旧第四高等中学校本館(1891年)にも似ていますが、こちらは煙草工場だからかアクセントや装飾は少ないです。

 

 

 

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敷地東側の様子です。

2階にも扉がありますね。

 

 

 

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北東側です。個人的にこのアングルが気に入っています。

周辺は図書館とともに玉川公園として整備されており、新緑に浮かび上がる赤レンガ建築が素晴らしいですね。

 

 

 

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北側から見た様子です。

こちらからは樹木で少し見えにくいです。

瓦屋根であることや、つなぎ目のアクセントとなっている装飾が見えるでしょうか。

 

 

 

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北西側からみた様子です。(左下のう◯この看板は気にせずに・・・(笑))

北側の面は窓が多いですが、西側の面は窓が少なくのっぺりした印象です。

建物角にもアクセントとなるささやかな装飾が。

 

 

 

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北側の窓の並びは見事ですね。

 

 

 

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隣接地には、金沢市立玉川図書館(1978年)があり、こちらも世界的建築家谷口吉郎氏・谷口吉生氏の最初で最後の親子作品として建築マニアには有名な作品となっています。また、写真右側に写っている白い建物は、玉川子ども図書館(1976年)で旧 日本たばこ産業金沢支店の建物をリノベーションし2008年11月に開館しました。

また、かつて専売公社の建屋の上にあった、金沢のシンボル的存在だった時計台(1913年)も保存されています。

時代とともに建設された旧専売公社の建築群がこの写真1枚にすべて収めることが出来ます。

 

 

 

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金沢で非常に多く見られる黒瓦を使用し、壁面は赤レンガの建物。

全国各地に専売公社の建築物は存在しましたが、赤レンガの煙草工場だった建物が残っているのは金沢だけで、旧大蔵省が設計した専売公社の建築を見られる全国唯一のスポットとなっています。

 

 

 

解体前の日本専売公社金沢たばこ工場(旧金沢煙草製造所)とは??

気になった方もいると思いますが、旧専売公社C-1号の「C-1」って何?C-2やC-3もあったんけ?ということで、解体前はどのような工場だったかを見ていきます。

 

こちらが現在の金沢市立玉川図書館とその周辺です。

一帯は玉川公園という公園になっており、左上には日本専売公社金沢支店として建てられた、玉川こども図書館があります。

また、右上には金沢市立図書館があり、公園のわずかな敷地に旧専売公社C-1号工場が残っています。

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解体前の日本専売公社金沢たばこ工場(旧金沢煙草製造所)は赤レンガ造りで2階建ての全長280mの回廊式の建築だったそうです。

国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの1962年5月11日の金沢市の航空写真に当時の写真があったためリンクを張り付けておきます。

MCB625-C8-12 国土地理院 地図

地図の上側を見れば当時の全長280mの回廊式(ロの字形)の建築を見ることが出来ると思います。

現在保存されている部分は当時の8分の1程度です。

そう考えると、当時はとても大きな赤レンガ建築だったことが分かります。

 

当時の巨大な回廊式赤レンガ建築を想像しながら散策してみると面白いかもしれません。

 

 

地図