【特集】 新高岡駅 「かがやき」 通過問題について

2016年12月29日北陸新幹線

新高岡駅 「かがやき」 通過問題とは?

最近、富山県で話題になっているこの問題、発端は2014年8月27日のJR西日本・JR東日本が発表した「北陸新幹線 長野‐金沢駅間開業に伴う運行計画の概要について」です。

この発表は、北陸新幹線の開業日を3月14日と決定すると同時に、新幹線運行本数や停車駅の発表、開業後の在来線特急列車の運転についてが示されました。

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停車駅の発表では最速達列車である「かがやき」の停車駅が

東京‐上野(一部停車)‐大宮‐長野‐富山‐金沢

と発表されたことに対して、高橋高岡市長は残念とコメントをした上で、新高岡駅から直接東京駅へ向かう新幹線が14本ということに対して「極めて遺憾」と述べた問題です。

 

 

 

高速道路と新幹線は別物

私は過去に書いた記事「北陸新幹線白山駅(仮称)はいらない!」でも述べたとおり、高速道路のインターチェンジは作れば作るほど賑わい創出、交流人口拡大が期待されると思いますが、新幹線の場合は多くの駅を作れば作るほど不便になります。なんでリニア中央新幹線は1県1駅なのでしょうか?それは多くの駅を作るほど高速交通のメリットがなくなってしまうからです。

 

 

 

駅間距離を見ても・・・

北陸新幹線の延伸区間の駅と駅間距離を見てみましょう。

長野駅‐飯山駅‐上越妙高駅‐糸魚川駅‐黒部宇奈月温泉駅‐富山駅‐新高岡駅‐金沢駅

長野‐飯山間 29.9km  飯山‐上越妙高間 29.6km  上越妙高‐糸魚川間 37km  糸魚川‐黒部宇奈月温泉間 39.3km 黒部宇奈月温泉‐富山間 33.8km  富山‐新高岡間 18.9km  新高岡‐金沢間 39.6km

見てもらっても分かるように、富山駅と新高岡駅の駅間距離は僅か18.9kmしか無いのです。私はここに最速達列車が停車することはあり得ないと思ってました。

しかし、発表されてから慌てたように、最速達停車駅が約40万人以上の都市かつ県庁所在地にしか停車していないにもかかわらず、新高岡駅に停車しろと言っているのです。

なぜ、高岡市はここまで不満気味なのでしょうか?それは、いくつかの理由があると私は考えています。

 

 

 

1. 現行の特急列車より停車本数が少ない

高岡市長が「極めて遺憾」と述べたのは、現行の特急が高岡駅に停車する列車が 18本/日 に対して、なんで北陸新幹線新高岡駅は 14本/日 なのか、ということに対してです。

確かに速達列車の停車本数が減ることはその都市に対して致命的となるので遺憾の意を表明する理由もわかります。しかしながら、特急が18本/日 と定めたのは、過去に賑わいを見せた高岡駅の名残ともいえるでしょう。

かつてのJR高岡駅周辺は北陸の駅前の中で最も賑わっていました。金沢駅前は2006年に金沢フォーラスができてやっと賑わいの文字が出てくるようになりましたが、高岡駅前の最盛期はそんなレベルじゃないほど賑わっていました。

高岡駅周辺には「MSの街(ジャスコ)」「ユニー高岡店」「丸大百貨店」「大和百貨店」「ダイエー高岡店」「高岡ステーションデパート」が北口・南口にひしめき合い、それに加え「末広町商店街」「御旅屋通り商店街」と北陸初の地下街「高岡駅前地下街」、映画館が10件ほどありまさに無双状態でした。(一部、@ndn8604さんのツイート参考)

現在はというと、高岡駅前には再開発ビルが建ち、駅は橋上化され、商業施設「クルン高岡」がオープンし、駅前とその周辺はぺデストリアンデッキで結ばれる駅になりましたが、かつての賑わいから考えるとだいぶ閑散としています。

そして、新幹線が開業する駅も郊外の新高岡駅。イオンモール高岡が連日にぎわってますが、駅前には田園風景が広がり、新たに駅前に誕生するのは無料駐車場くらいしか目立ったものがありません。

こんな状況で現行の18本/日もいらないとJRに判断されても仕方ありません。

 

 

 

2.「飛越能の玄関口」という言葉の独り歩き

高岡市のおとなり、小矢部市には北陸自動車道と東海北陸自動車道、能越自動車道が交わるジャンクション(JCT)があり、交通の結節点となっています。そのおかげで飛騨地域や能登地域にとっては、最寄りの新幹線駅が新高岡駅となります。

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このことに伴い、高岡市が飛騨+越中(高岡地域)+能登地域を引っ張っていくんだ、と言わんばかりに「飛越能」という言葉を作りアピールしてきました。北陸新幹線新高岡駅の駅舎コンセプトは「飛越能の歴史を継承する駅」で、駅舎にも高岡のほか、飛騨や能登地域もイメージしているそうです。そして、能登や飛騨から訪れる方は高速道路を使ってくるでしょう、だから格安駐車場も整備しましょう。っていうわけで、平面駐車場+立体駐車場 合わせて800台駐車できるように整備中です。平面駐車場の場合は開業後しばらくは駐車料金が日帰りの場合、実質無料になります。

これはもちろん最速達列車「かがやき」の停車も視野に入れて着々と進めてきた結果でしょう。ここに「かがやき」を止まれば駐車料金の高い金沢駅や富山駅とも対抗できると考えたのでしょうか。しかしながら夢は実現しませんでした。

まず、冒頭で述べたとおり駅間距離や停車駅を見ても、県庁所在地でもなければ人口が20万人未満の高岡市がドッシリ構えていても最速達列車が停車するわけがありません。普通はJRへ出向いて陳情するなりアクションを起こしてみると思うのですが、高岡市はそんなこともなく停車するものだということを前提に動いてしまったことが不満が残る原因になってしまったのではないでしょうか。まさに捕らぬ狸の皮算用です。

そして、インターネットで「飛越能」と検索してもヒットするのは高岡市でのイベント、高岡市のホームページ、高岡市の商工会議所ばかりです。「飛越能広域観光ガイド」というサイトもありますが、事務局は高岡市観光交流課です。

このことから、「飛越能」と謳っているのは高岡市が主で、飛越能の自治体(下呂市、高山市、飛騨市、白川村、南砺市、小矢部市、射水市、氷見市、羽咋市、七尾市、輪島市、珠洲市)と深く連携していなかったことも浮き彫りになってきます。

遺憾の意を表明したのは飛越能の自治体の中でもまさに主の高岡市だけで、他の都市は何のコメントも発表していません。各都市間の提携からの進展があまりなく、高岡市が勝手に進めたイメージのある「飛越能の玄関口」という言葉が独り歩きしていることに過ぎないですね。

 

 

 

3.時間短縮効果の無さ

時間短縮効果の無さ、これも高岡市の不満でしょうね。

北陸新幹線金沢開業により、東京‐金沢間が最大1時間20分短縮され2時間28分、東京‐富山間が最大1時間短縮され2時間8分で運行されます。

今の文章で”最大”というのは最速達列車「かがやき」の場合を指します。「かがやき」は東京‐金沢間を1日10往復します。各駅停車タイプの「はくたか」は東京‐金沢間を1日14往復します。当然ですが最速達列車の「かがやき」より東京‐金沢間は多くの駅に止まっているので遅いです。富山駅、金沢駅には「かがやき」「はくたか」が停車しますが、新高岡駅には「はくたか」のみ停車します。

そうなると、「はくたか」の新高岡駅到着<「かがやき」の金沢駅到着 ということも起こりうる可能性もあります。そうなると新高岡駅の時間短縮効果は、

東京‐金沢間の時間短縮効果 - 金沢‐高岡間の特急所要時間 = 新高岡駅の時間短縮効果 となります。

新高岡駅出ても郊外です。接続路線であるJR城端線は運行本数が少ないローカル線です、となると結局、呉西地域の大部分は時間短縮効果の恩恵がほとんどないことになります。

それに加え、1で述べたとおり、特急本数より新幹線の本数が少なくなります。これでは高岡市が気合入れて新幹線で集客しようとしてもむしろ交流人口が停滞または減少に向かっていく恐れも懸念されているのです。

以上、これら3つが予測できることです。個人的な解決策としては、最速達列車は私は県庁所在地以外に止まる必要がないと述べた上で、

  • 新高岡駅から(へ)の2次交通の充実
  • 呉西地域から富山駅への交通の充実

この2つが最重要課題でしょう。いかに呉西地域の方々をスムーズに新幹線駅へとアクセスするか、観光政策も重要ですが、市民をどれだけ不満にさせないかということにかかっていると思います。そのための選択肢として新高岡駅と富山駅両方に気軽にアクセスする2次交通が必要だと思います。私は交通王国富山の創意工夫を見てみたいと思います。

北陸新幹線新高岡駅には「はくたか」「つるぎ」の全列車停車は決定しています。私はそれだけでもありがたいことだと受け止める気持ちも大切かなと思います。新幹線開業前にして「極めて遺憾」とのコメントは少し違和感を感じました。そして、決定事項に不満だといい今更JRに陳情に行くことが遅いです。

 

 

 

PR運動を強化している高岡市

現在、高岡市では「かがやき」を停車させようと、決起大会や署名活動、さらには新幹線応援ソング「かがやき」という歌を「新高岡駅かがやき停車応援ソング」と位置付けて県内外にPRする方針にしたそうです。さすがに高岡市と周辺の経済団体のここまでの「かがやき愛」にたいして、富山県内からもやりすぎだ、怖いとの意見も散見されます。

陳情に行った際のJR西日本のコメント(2014年9月1日)は「皆さんの熱意は理解できるが、熟慮に熟慮を重ねた結果なのでご理解いただきたい」という回答です。

最速達列車「かがやき」の運行はJR側としては東京‐金沢間2時間30分を切るという意図があり、 このインパクトで航空路線(小松‐羽田便)と対抗したいのでしょう(小松‐羽田便は国内路線としてはドル箱路線である)。

今回、「かがやき」が止まらない飯山駅、上越妙高駅、糸魚川駅、黒部宇奈月温泉駅の各自治体も「さすがに最速達は止まらなかったのか」という思いが大きいでしょう。他の自治体が結果を受け止めているのに対し、高岡市だけがごねているのです。そして、高岡市長だけが出向いているのかと思いきや、地元の国会議員や石井富山県知事までもが国土交通大臣と面会し「かがやき」の停車を要望しているのです。

富山県知事は黒部宇奈月温泉駅については停車は要望していないようで、どうして新高岡駅の「かがやき」停車のみを要望しているのでしょうか。こういった内容からも呉東(富山市より東側の地域)の住民からの「なんで呉西(富山市よりも西側の地域)ばかりなんだ」「黒部宇奈月温泉駅へのかがやき停車も要望してくださいよ」ということになるかもしれない。すると、新潟県で唯一の北陸新幹線停車駅である上越妙高駅からも「新潟県内で1駅しかない北陸新幹線駅なんだからかがやき停車してくださいよ」という要望が起こるかもしれない。

そんな要望ばかり受け入れていたら、最終的に最速達列車の魅力、輝きが失われ、「かがやき」では無くなってしまう。冒頭でも述べたとおり新幹線の場合は多くの駅を作れば作るほど不便になる。新高岡駅に「かがやき」を仮に停車が実現したとしてもせいぜい1~2本だろう。ならば、新高岡駅に「かがやき」をたった数本停車させること、それが高岡市、呉西地域、飛騨地域、能登地域においての幸せになるのか?

高岡市長は最速達列車の意味を分かっているのかな?最速達ですよ?

 

 

 

私が言いたかったこと

  • 北陸新幹線新高岡駅に最速達列車「かがやき」の停車は不要
  • 「かがやき」 停車陳情に行く前に「飛越能」の連携を確立してから行くべき
  • 最速達列車の意味を理解したうえで高岡市の人口17.6万人ということを踏まえるべき(上越市の人口は20.3万人ですが「かがやき」停車陳情してないです)
  • まずは陳情する前に、新高岡駅への公共交通網の整備が必要

 

新高岡駅の「かがやき」停車要望、まずやるべきことをやっていないため順序が全く違います。

 

以前、Twitterで私が石川県出身だからこんなことを言えるんじゃないかとりプいただきましたが、私は北陸新幹線の場合、最速達列車は1県1駅で十分だと思います。

 

だから、新高岡駅にはかがやきとつるぎの全列車停車することだけでも理解していただいたうえで(だって新幹線駅すらない都市も沢山あるんですよ??)、ホームを颯爽と駆け抜ける「かがやき」を見ていただくということになりそうです。

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